1. 介護リフォームとは? 一般のリフォームとの違い
日本の高齢化は急速に進行しており、2024年10月1日現在、総人口1億2,435万人のうち、65歳以上の高齢者は3,623万人で、高齢化率は29.1%に達しています。
また、令和6年版高齢社会白書によれば、2070年には高齢化率が38.7%に達し、約2.6人に1人が65歳以上となる見込みです。

参照:厚生労働省「令和6年版高齢社会白書:高齢化の現状と将来像」
また、厚生労働省の調査によると、高齢者の72.2%が「年をとっても自宅で暮らしたい」 と希望しています。しかし、加齢に伴い筋力やバランス感覚が低下し、これまで問題なく生活できていた自宅が「危険な場所」になってしまうケースが増えています。

参照:厚生労働省「平成28年版厚生労働白書:高齢者の意識」
たとえば、こんな危険が考えられます。
✅ 玄関の段差でつまずく → 転倒して骨折のリスク
✅ 浴室の床が滑りやすい → 入浴中の転倒事故
✅ トイレの立ち座りが大変 → 介助なしでは利用困難
実は、高齢者の転倒事故の多くは自宅で起きているのです。高齢者の転倒・転落事故の57.7%は住み慣れた自宅で起きているというデータもあります。

住み慣れた自宅で暮らし続けるためには、高齢者の生活・介護が必要な方の生活に合わせた環境に最適化していくことが求められます。
そこで求められるのが 「介護リフォーム」 です。
一般のリフォームと介護リフォームの違い
「リフォーム」というと、一般的には 「家をきれいにする」「設備を新しくする」「機能的にする・便利にする」 というイメージが強いですが、介護リフォームは目的が異なります。
項目 | 一般的なリフォーム | 介護リフォーム |
---|---|---|
目的 | 住宅の美観や快適性・利便性の向上 | 高齢者が安全に暮らせる環境づくり |
対象者 | そこに住むすべての人 | 高齢者や介護が必要な方、その家族 |
工事内容 | 住宅の改装、リノベーション | バリアフリー化、介護しやすい設計 |
デザインの優先度 | 美しさや流行、機能性を重視 | 機能性・安全性を最優先 |
依頼のきっかけ | 経年劣化・住み心地の向上・技術の革新 | 生活に支障が出てきたため |
例えば、一般的なリフォームでは 「おしゃれなデザインの階段にしたい」 というニーズが多いですが、介護リフォームでは 「階段に手すりをつけて転倒を防ぐ」「段差を減らす」 ことが重要になります。
また、キッチンのリフォームでも、一般的なリフォームなら 「最新のシステムキッチンにしたい」 という希望が多いですが、介護リフォームでは 「車椅子でも使いやすい高さに調整したい」 という視点が加わります。
このように、介護リフォームは見た目の美しさよりも「高齢者が安全に暮らせる機能性」を最優先 する点が、大きな違いです。
介護リフォームについて詳しく知りたい方はこちらから。
介護リフォームの具体的な内容
では、実際に介護リフォームではどのような工事が行われるのでしょうか? 代表的なものをいくつか紹介します。
1. 手すりの設置
→ 転倒予防&自立支援
- 設置場所:廊下・階段・トイレ・浴室など
- 目的:移動時の支えになり、姿勢を整え、転倒リスクを軽減する。膝や腰などの痛みによる負荷を軽減する。脚力の不足を手の力で補う。・・・など

2. 段差の解消
→ つまずきを防ぐ&車椅子でも移動しやすくする
- 施工内容:スロープ設置、踏み台設置、床の高さ嵩上げなど
- 対象エリア:玄関・浴室・廊下など

3. 開き戸を引き戸または折れ戸などに変更する
→ 開閉しやすくする&車椅子でもスムーズに移動できる
- 施工内容:開き戸を引き戸に変更
- メリット:開閉の負担が減る、介助スペースが確保しやすい

4. その他
→ 一人でも安全に移動・動作できる環境をつくる
- 施工内容:床の滑り止め、和式便器を洋式便器に変更するなど
これらの工事を施すことで、高齢者が自宅で快適に生活できるだけでなく、介護する家族の負担も大幅に軽減 されます。これらは介護保険の制度で住宅改修費助成の対象となる工事内容です。もちろん、介護保険対象外であっても介護が必要な方の転倒防止や生活改善につながる様々な工事もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
✅ 高齢者が自宅で安全に暮らせるよう、住宅を改修すること
✅ 一般的なリフォームと違い、美観よりも機能性・安全性を優先
✅ 転倒予防・移動しやすさの向上・介護のしやすさを重視した設計
高齢化が進む日本では、今後ますます 「自宅で安心して暮らせる環境づくり」 が求められます。
介護リフォームは、そのニーズに応える 社会的に意義のある仕事 なのです。
2. 介護リフォームのやりがいとは?

「ありがとう」の言葉が原動力になる仕事
介護リフォームの最大のやりがいは、工事を終えた後に直接「ありがとう」と感謝の言葉をいただけること です。
例えば、手すりを設置した高齢者の方から、
「これで安心して歩けるようになりました」
浴室の開き戸を折れ戸に交換したご家族から、
「介護が本当に楽になりました。助かりました!」
といった声を直接聞くことができます。
そこに暮らす人の生活を変えることができるのは大きなやりがいになります。
今まで一人ではトイレに行けなかったので、妻を呼んでトイレを手伝ってもらっていた。夜中に妻を起こすのは申し訳ないと思っていたが、漏らしてしまうと余計に負担がかかる。自分で自分のことを、とても情けないと思っていた。
介護リフォームをお願いして廊下とトイレに手すりを付けたことで、自分の力でトイレまで行くことができるようになった。妻を起こすことなく、ゆっくり眠れるようになったと喜んでいた。もちろん、自分の足で歩けることは自信にもつながる。自分でできることが増えるというのはうれしいものだよ。
このように、介護リフォームは利用者の「自立支援」につながります。誰かの手を借りるのではなく、自分の手でできることを目指すのは介護保険の理念でもあります。それが利用者からの感謝として表現されているのです。
このように、介護リフォームは「ありがとう」という感謝の言葉につながります。自分の仕事が人の役に立っていることを実感しやすい ため、強い達成感ややりがいを感じられるのが特徴です。
もちろん、「ありがとう」という感謝で満足するだけではなく、自立支援を目的に、もっと最適な提案はないか、もっと効果的な改善策はないか、自己研鑽していくプロフェッショナルとしての姿勢も欠いてはいけません。
介護職との違い:直接介護はしないけれど、大きな支えになる
項目 | 介護リフォーム | 介護職(介護士・看護師など) |
---|---|---|
関わり方 | 住環境を改善し、暮らしやすくする | 直接身体介護や医療ケアを行う |
貢献の仕方 | 安心・安全な生活空間をつくる | 日々のケアや身体的サポートをする |
仕事の成果 | 形として残る(手すり・段差解消など) | その場での対応が中心 |
必要なスキル | 住宅リフォームの知識+介護の視点 特別な資格は必要ない | 介護技術や医療知識 仕事内容によって公的資格が必要 |
身体的負担 | 体力は使うが、直接の身体介護はなし | 入浴・排泄介助など負担が大きい |
介護リフォームは、「直接介護はできないけれど、高齢者や介護する家族の力になりたい」「介護の資格はないけれど、介護を必要としている人の力になりたい」 という人にとって、非常に意義のある仕事です。
介護職と比べて、介護者の負担を軽減するという側面が強く、家族全体の生活の質(QOL)向上に貢献できます。
社会貢献度の高い仕事
日本では高齢化が進み、在宅介護を希望する高齢者が増えている 一方で、住環境が整っていないことで生活が不自由になるケースが増えています。
✅ 高齢者の72.2%が「自宅で生活したい」と希望
✅ 転倒・骨折がきっかけで要介護状態になるケースが多い
✅ 介護者の負担軽減のためにも、安全な住環境づくりが不可欠
介護リフォームの仕事は、こうした社会的な課題を解決し、高齢者が住み慣れた家で安全・快適に暮らせる環境を提供する という大きな意義があります。
目に見える成果が残る達成感
一般的なサービス業や介護職と異なり、介護リフォームは 「形に残る仕事」 です。
- 設置した手すり
- 解消した段差
- 使いやすくなった浴室
これらはすべて、自分の仕事の成果が目に見える形で残る ため、達成感を感じやすいのが特徴です。
「自分が手がけたリフォームが、この家に住む人の暮らしを変えた」 という実感は、他の仕事では味わえない喜びにつながります。
✅ 「ありがとう」の言葉が直接もらえる仕事
✅ 介護職とは異なる形で、高齢者や家族を支えられる
✅ 社会貢献度が高く、今後のニーズが増えていく業界
✅ 目に見える形で成果が残るため、達成感を得られる
介護リフォームは、単なる住宅工事ではなく、「住む人の生活を支える仕事」 です。特に、介護という大きな課題に困っている方の生活を支える大きな意義のある仕事です。
それこそが、仕事の大きなやりがいとなります。
3. 介護リフォームの魅力

介護リフォームは、やりがいだけでなく、仕事としての魅力も多い 仕事です。
ここでは、介護リフォームの 3つの大きな魅力 を紹介します。
① 地域とのつながりが生まれる仕事
介護リフォームは、地域密着型のビジネス です。
単に依頼を受けて工事をするだけではなく、地域のケアマネジャーや福祉用具専門相談員、医療機関と連携しながら仕事を進めていく のが特徴です。
地域の人々と信頼関係を築くことで、仕事の幅が広がる
✅ ケアマネジャー:担当利用者の状態悪化から住宅改修の提案。
✅ 福祉用具専門相談員:レンタルの手すりではなく、住宅改修の方が利便性が高いと判断、介護リフォームの提案。
✅ 医療機関:退院に向けて自宅の環境整備が必要。理学療法士も交えて、住宅改修を提案。
こうしたつながりができると、地域に必要とされる存在になり、安定的な受注につながる というメリットもあります。
② 社員の成長につながる仕事
介護リフォームの仕事は、ただ工事をするだけではありません。
利用者の声を直接聞き、最適な解決策を考える必要があります。
自分で考え、解決する力が身につく
一般的なリフォームとは異なり、介護リフォームでは 「この家のどこをどう直せば、安全になるか?」 を考える力が求められます。
✅ 「動線上で支障になっている段差、どう改善したらいいか?」
✅ 「この家の間取りでは、どこに手すりをつけるのがベストか?」
✅ 「この部分に手すりを付ける場合、強度は問題ないか?」
また、家の問題だけではなく、そこに住む人の状態を把握することも必要です。
✅ 「この方の立ち上がりの際の膝の痛みを軽減するためにはどうしたらいいか」
✅ 「関節の拘縮があり可動域が狭い方、どの位置の手すりだったら力が入りやすいか」
✅ 「立位バランスの不安定な方、縦の手すりがいいか、横の手すりがいいか」
一軒一軒・一人一人に適した介護リフォームがあります。自立支援を目指すうえで、その結果は大きく異なります。
こうした問題を解決する経験を積むことで、課題解決能力や提案力が磨かれ、成長につながります。
利用者や介護専門職とのコミュニケーション能力が向上
介護リフォームの仕事では、利用者やその家族、ケアマネジャーなど多くの人と関わる機会が多い です。
✅ 利用者の思いや課題を引き出し、最適なリフォームを提案する → ヒアリング力・提案力UP
✅ ケアマネジャーと相談しながら工事を進める → 介護業界とのネットワーク構築
✅ 介護保険をはじめとする行政の補助金制度を活用する → 知識の幅が広がる
こうした経験を積むことで、コミュニケーション力や問題解決力が向上し、成長を実感しやすい仕事 です。
③ 企業の持続可能な成長にも貢献
介護リフォームの仕事は、長期的に安定したビジネス です。
高齢化社会の進行により、今後も需要が増加
日本の高齢化率は 2024年時点で29.1%(約3人に1人が65歳以上)。
2070年には38.7%(約2.6人に1人が65歳以上)になると予測 されています。
また、国は地域包括ケアシステムの推進を目指していることから高齢者介護は在宅の割合が増えていきます。
つまり、今後さらに介護リフォームのニーズは高まる ということです。
感謝の言葉が企業の成長を支える
介護リフォームは、利用者から直接感謝の言葉をいただくことが多い仕事です。
この 「ありがとう」がポジティブな口コミやリピートにつながり、地域における会社の信頼性につながり、安定した経営基盤を形成するのです。
✅ 感謝される仕事だから、社員のモチベーションが高まる
✅ 利用者の満足度が高く、リピートや紹介が増える
✅ 地域に根付いた事業として、持続可能な成長が可能
介護リフォームは、ただのリフォーム業ではなく、社会貢献度の高い仕事 です。
地域に根付いたビジネスとして、長く続けていくことができます。
4. 介護リフォームの仕事に向いている人

介護リフォームの仕事は、「ただのリフォーム業」ではなく、「人の暮らしを支える仕事」 です。
そのため、向いている人にはいくつかの共通点があります。
✅ 人の役に立つことが好きな人
✅ リフォーム経験を活かしながら社会貢献したい人
✅ 介護業界に興味はあるが、直接の介護は難しいと感じる人
✅ 自分で考え、解決する仕事がしたい人
ここでは、具体的にどんな人が向いているのかを詳しく解説します。
① 人の役に立つことが好きな人
介護リフォームは、単なる住宅改修ではなく、高齢者やその家族の生活をより良くする仕事 です。
- 「このリフォームのおかげで安全に暮らせるようになった!」
- 「介護がしやすくなり、本当に助かりました!」
こうした感謝の言葉を直接もらえるため、誰かの役に立ちたいという気持ちが強い人に向いています。
② リフォーム経験を活かしながら社会貢献したい人
✅ 「リフォームの知識や技術を活かして、人の役に立ちたい」
✅ 「住まいづくりを通じて、社会貢献ができる仕事をしたい」
このように考えている人には、介護リフォームが最適です。
一般的なリフォームは、美観やデザインを重視しますが、
介護リフォームでは「安全性」「使いやすさ」「介護のしやすさ」を重視 します。
つまり、リフォームのスキルを活かしつつ、より社会的な価値の高い仕事ができる という魅力があります。
③ 介護業界に興味はあるが、直接の介護は難しいと感じる人
介護の仕事に興味があっても、「身体介護は自分には向いていないかも…」 と考える人も多いです。
介護リフォームなら、直接の介護ではなく「住環境の改善」を通じて、高齢者を支えることができます。
「介護に貢献したいけれど、介護職はハードルが高い」と感じている人にもおすすめの仕事です。
④ 自分で考え、解決する仕事がしたい人
介護リフォームの現場では、家ごとに異なる課題を解決する力が求められます。
✅ 「この家はどこが危険か?」
✅ 「どんな工事をすれば安全に暮らせるか?」
✅ 「予算内で最適なリフォームを提案するには?」
こうした課題を考えながら、最適な解決策を見つける力が身につきます。
「ただ指示された工事をするだけでは物足りない!」という人には、やりがいのある仕事です。
✅ 人の役に立つことが好きな人
✅ リフォーム経験を活かしながら社会貢献したい人
✅ 介護業界に興味はあるが、直接の介護は難しい人
✅ 自分で考え、解決する仕事がしたい人
介護リフォームは、「人のためになる仕事がしたい」「自分のスキルを活かして社会貢献したい」 という人にぴったりの仕事です。男性だけでなく女性でも、また、経験豊富な人だけでなく新卒社員でも、結果を残せる仕事が介護リフォームです。
まとめ:介護リフォームはやりがいと魅力のある仕事!
介護リフォームは、「高齢者やその家族の生活を支える」 という大きな意義を持つ仕事です。
一般的なリフォームとは異なり、安全性や介護のしやすさを重視し、暮らしの質を向上させる ことが目的となります。
また、工事を通じて 「ありがとう」「助かりました」 という感謝の言葉を直接いただける仕事でもあります。
介護リフォームの将来性と今後のニーズ
今後、日本はさらに高齢化が進み、介護リフォームの需要は確実に増加 していきます。
📌 高齢化率は2024年時点で29.1%、2070年には38.7%に達する見込み
📌 高齢者の72.2%が「できる限り自宅で暮らしたい」と希望
📌 住環境が整わないと転倒やケガのリスクが高まり、要介護状態へ移行する可能性が高くなる
このような背景から、介護リフォームの重要性は今後さらに高まる ことが予想されます。
介護リフォームは「社会貢献」と「ビジネス」の両方を実現できる仕事
1. 高齢者の暮らしを支え、直接「ありがとう」の言葉をもらえる仕事
2. 介護職とは違う形で、高齢化社会の課題を解決できる仕事
3. 地域に根ざした事業であり、信頼を築くことで安定した仕事を確保できる
4. 高齢化の進行とともに、今後さらに需要が増加する成長市場
「人の役に立ちたい」「長く続けられる仕事をしたい」と考えている人にとって、介護リフォームは非常に魅力的な選択肢 です。
介護リフォーム本舗では加盟店を募集しています。あなたの暮らしている地域で介護リフォームの仕事をしたい方は是非ご相談ください。

