建設業から介護分野への参入に成功している事業者は、特別な才能や運に頼っているのではなく、介護業界の特性を理解したうえで、自社の強みを介護の価値基準に合わせて使っています。どの分野に参入し、どこまで自社で担い、何を仕組みに任せるかを早い段階で整理できているかが、成否を分けています。
介護ビジネスは簡単な分野ではありません。制度が複雑で人材確保も難しく、参入したものの撤退を余儀なくされる法人があることは広く知られています。どのような原因でつまずくのかは、介護業界への参入はなぜ失敗するのかで失敗事例として紹介しています。
一方で、数は多くないものの、建設業から介護分野へ参入し、事業として安定させている法人もあります。こうした事例には、「特別なノウハウがあったから」「運が良かったから」では片付けられない共通点があります。
本記事では、建設業から介護分野へ参入して成功している法人に共通する考え方を整理し、なぜそのやり方が成立しているのかを事例を交えて解説します。介護分野のどのサービスで収益を上げやすいかについては、介護事業は本当に儲かるのかで比較しています。
建設業と介護業界にはどんな共通点があるのか?
現場の質が会社の評価に直結すること、一度の失敗が信頼低下につながりやすいこと、人がサービス品質を左右すること、地域密着であるほど強いことが共通しています。

一見すると、建設業と介護業界はまったく異なる業界に見えます。しかし、事業の成り立ちや評価のされ方に目を向けると、両者には意外と多くの共通点があります。
まず、どちらも現場の質が会社の評価に直結する仕事です。建設業では施工の丁寧さや段取りの良さが信頼につながり、介護業界でも日々の対応やサービス品質がそのまま評価として返ってきます。
次に、一度の失敗が信頼低下につながりやすい点も共通しています。工事の不備や説明不足がクレームにつながるのと同様に、介護の現場でも小さな行き違いが利用者や家族の不安を生むことがあります。
また、どちらの業界も人がサービス品質を左右する仕事です。建設業では現場を任せられる人材が重要であり、介護業界では職員の対応や定着が事業継続に直結します。
さらに、地域密着型であるほど強いという点も見逃せません。紹介や口コミ、信頼の積み重ねが仕事につながる構造は、両業界に共通する特徴です。こうした親和性から、建設業から介護業界を目指す事業者が増えているのも理解できます。既存事業と新しい事業の組み合わせ方は、リフォーム会社の経営に必要な多角化でも解説しています。
建設業の新規事業としてどのような分野があり、どう始めるかは、建設業の新規事業のアイデアと始め方で整理しています。
介護ビジネスは短期間で成果を出す事業ではなく、日々の積み重ねで信頼を築いていく事業です。この点を理解している建設業者ほど、介護業界への参入に活路を見出しやすく、着実に事業を育てていくことができます。高齢者向け市場全体の可能性については、シニアビジネスの将来性と成功の秘訣も参考になります。
次章では、こうした共通点を理解したうえで、成功している法人がどのように介護業界と向き合っているのかを見ていきます。
建設業から介護分野に参入して成功した事例には、どんなものがあるのか?
デジタル化や地域との関係といった建設業の強みを生かしてデイサービスを運営する例や、専門家の助言と視察・ニーズ調査を重ねて開設した例があります。いずれも公開されている事例紹介をもとに、なぜ事業として成立しているのかを整理します。
建設業出身の経営者が介護事業に参入し、地域で継続運営している事例
最初の事例は、地元で建設業を営んでいた経営者が、事業環境の変化と地域の高齢化を背景に介護分野へ参入したケースです。
この経営者は建設会社の経営を通じて地域と深く関わってきましたが、公共工事の縮小や価格競争の激化を受け、「これから地域に本当に必要とされる事業は何か」を考えるようになり、介護分野に着目しました。
介護事業に取り組むにあたっては、いきなり規模拡大を目指すのではなく、地域の高齢者が日常的に利用できるデイサービス事業から始めています。
介護事業に本格的に乗り出したのは2002年です。地域の建設業として信頼を集めていたことから、介護業界への参入に懸念を伝えられることも多かったと紹介されていますが、介護分野の将来性を早くから見据えていたと言えます。さらに、
- 業務のデジタル化に早い段階から取り組んできた
- 災害時にも事業を止めないための備えを重視している
- 地域との関係性を大切にしている
といった形で、建設業で身につけた考え方を介護事業でも生かしています。
また、この事業では「短時間でも楽しく、安心して過ごしてもらうこと」を大切にしており、サービス内容や空間づくりにも工夫が見られます。その結果、地域の利用者に受け入れられ、継続的な運営につながっていることが、公開されている事例紹介から確認できます。
このケースからは、建設業ですでに身につけていたデジタル化や地域との関係性といった強みを、介護事業に応用したことが成果につながっていると読み取れます。
参照
・RICOH:中小企業応援サイト「建設業出身者が介護事業に参入した事例(中小企業向けケーススタディ)」
建設業から介護事業に参入し、利用者数を伸ばしている事例
もう一つの事例は、建設・土木業を基盤としていた企業が、地域ニーズを踏まえて介護事業を立ち上げたケースです。この会社も、公共事業の削減など建設業を取り巻く環境の変化を背景に、新たな事業分野として介護を検討しました。
建設業の視点や経験則をそのまま持ち込むのではなく、「中小企業事業転換計画策定支援事業」を活用して福祉分野に詳しい専門家の助言を受け、他県の施設の視察や地域のニーズ調査などを行いながら事業計画を進めています。建設業の成功体験に依存せず、介護業界に適応するための情報収集と計画を入念に行っていたということです。
開設後は利用者数が増加し、事業として軌道に乗り始めていると紹介されています。建設業の強みそのもので勝負するのではなく、事前に介護業界を深く理解したことが成果につながったと言えます。
参照
・石川県産業創出支援機構ISICO「建設業から介護事業へ参入した企業の公的・業界掲載事例」
成功条件を自社だけでそろえるのが難しい場合は、どうすればよいのか?
施設運営や大規模な人材管理を伴わない住宅改修に領域を絞り、書類作成や申請フローが仕組み化されたモデルを活用する方法があります。その選択肢の一つが介護リフォーム本舗です。
ここまでの事例から、建設業から介護分野へ参入して事業として成立させている法人には、次のような共通点があることが分かります。
- 介護業界を理解している
- 自社の強みを、介護業界の価値基準に合わせて使っている
- 事業を「続ける」ことを前提に設計している
一方で、これらの条件を自社だけで満たすのは簡単ではありません。制度理解、書類対応、営業の考え方、業務の属人化は、どれも参入後に初めて重さを実感する要素です。介護分野の参入障壁とその実態は、介護業界の参入障壁は本当に高いのかでデータと事例をもとに解説しています。
介護リフォーム本舗は、介護分野の中でも住宅改修に特化しています。施設運営や人材マネジメントといった負荷の大きい領域には踏み込まず、建設業者が強みを発揮しやすい分野に領域を絞っています。
多くの工事は手すりの取付や扉の交換など比較的簡易な内容で、建設の知識がなくても短い期間で技術を身につけることは可能です。そのうえで、建設業で培った知識や経験があれば、さらに大きな信頼を得やすく、大規模なリフォーム案件につながる可能性もあります。
また、介護保険を使った住宅改修では、工事そのもの以上に、見積作成、書類対応、申請手続きの正確さとスピードが求められます。申請の具体的な流れは、介護保険住宅改修の手順で解説しています。
介護リフォーム本舗では、こうした業務を前提に、ITを活用した仕組み化を進めてきました。
- 見積や書類作成の効率化
- 申請フローの標準化
- ノウハウの蓄積と共有
これにより、担当者の経験や勘に依存しやすい業務を、再現性のある形で運用できる体制を整えています。さらに、蓄積してきた介護リフォームのノウハウをもとに、フランチャイズとして全国に展開しています。一部の事業者だけが成功するモデルではなく、地域の建設業者が同じ前提条件でスタートできる形を目指しているということです。
先に紹介した成功事例はいずれも優れた取り組みですが、個々の経営者の判断や努力に支えられた、属人的な側面もあります。介護リフォーム本舗のモデルは、成功条件を個人の力量に委ねるのではなく、仕組みとして提供している点に違いがあります。
よくある質問
まとめ:介護参入で成功する法人は何を選んでいるのか?
建設業から介護分野へ参入して成功している法人は、特別な才能や運に恵まれていたわけではありません。
- どの分野に参入するか
- どこまで自社で担うか
- 何を仕組みに任せるか
こうした選択と設計を早い段階で整理できていたかどうかが、結果を分けています。
介護リフォームという分野、そして介護リフォーム本舗というモデルは、建設業者が介護分野に参入する際の現実的な選択肢の一つです。住宅関連の他のFCと比べてから判断したい方は、介護リフォームFCと原状回復FCの違いもあわせてご覧ください。








