【序章】2040年、日本の介護はどうなる?
「介護保険制度が崩壊する?」—そんな話を耳にしたことはありませんか?
2040年、日本の高齢者人口はピークを迎え、3人に1人が高齢者になります。現在の介護保険制度は、この超高齢社会に対応できるのでしょうか?
近年、「2040年問題」として、高齢化による社会保障費の増大が大きな課題になっています。介護業界では、人手不足が深刻化し、事業者の倒産も相次いでいます。さらに、政府の方針として、介護保険サービスの給付抑制が進められ、利用者の負担は今後も増える見込みです。
もし、介護保険制度が崩壊すれば、日本の高齢者やその家族はどのような影響を受けるのでしょうか?そして、その解決策のひとつとして注目されるのが介護リフォームというビジネスです。
本記事では、介護保険制度が歩んできた道程を振り返りつつ、介護保険制度を将来予測し、それに伴うビジネスチャンスについて考えていきます。
【第1章】介護保険制度の現状と崩壊の兆し

2000年に導入された介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして機能してきました。しかし、現在この制度には深刻な課題が山積しています。財源不足、人手不足、サービス縮小が進む中で、2040年には制度そのものが維持できなくなる可能性すら指摘されています。
本章では、「介護保険制度崩壊の兆し」となる具体的な問題を解説していきます。
1. 介護保険料の急激な上昇 – 負担増で崩壊寸前
介護保険制度は現役世代(40歳以上)の保険料によって支えられています。しかし、急速な高齢化によって支え手が減少し、介護保険料の負担は年々増加しています。
📌 介護保険料の推移
年度 | 介護保険料(月額全国平均) |
---|---|
2000年(制度導入時) | 2,911円 |
2012年 | 4,972円 |
2021年 | 6,014円 |
2024年 | 6,225円 (一部自治体で9,000円超) |
2040年予測 | 1万円に届く可能性 |
(参考:厚生労働省 介護保険制度関連資料)
現在でも、月額9,000円を超える自治体があり、2040年には1万円を超える可能性も指摘されています。これにより、低所得の高齢者の負担がさらに重くなり、介護サービスを受けられない人が増加することが懸念されます。
2. 介護サービスの給付抑制 – 「受けたくても受けられない」時代へ
政府は介護保険制度の財源維持のため、給付の抑制を進めており、サービス利用が難しくなる状況が加速しています。
📌 現在検討されている具体的な給付削減策
- 要介護1・2の訪問介護・デイサービスが保険対象外に(総合事業へ移行)
- 自己負担割合の増加(1割 → 2割・3割負担の対象拡大)
- 居宅介護支援費の自己負担開始(ケアプランの有料化)
さらに、自治体によっては介護サービスを削減する動きが加速しており、「利用できると思っていた介護サービスが突然なくなる」ケースも出てきています。
(参考:厚生労働省 介護保険制度の見直し)
3. 介護事業者の倒産と人材不足 – 介護する人がいない
介護業界では、報酬(事業者への支払い)が抑制される中、倒産や廃業が増加しています。
📌 介護事業者の倒産件数(訪問介護)
年 | 倒産件数(前年比増減率) |
---|---|
2018年 | 78件 |
2020年 | 96件(+23.1%) |
2022年 | 120件(+25.0%) |
2023年 | 144件(過去最多) |
(参考:東京商工リサーチ「介護業界の倒産動向」)
- 低賃金・過酷な労働環境により、介護職員の離職率は15%前後と高水準
- 2040年には69万人の介護職員が不足(厚労省試算)
4. 認知症高齢者の増加 – 社会全体の負担が拡大
最新の研究によると、2040年の認知症高齢者数は584万人に達し、65歳以上の7人に1人が認知症になると予測されています。
📌 認知症高齢者の推移(予測値)
年 | 認知症高齢者数 |
---|---|
2022年 | 443万人 |
2025年 | 471万人 |
2040年 | 584万人 |
(参考:読売新聞「認知症高齢者数の最新予測」)
また、認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の高齢者数も2040年には612万人に達すると推計されています。
すでに崩壊の兆しは現れている
これらの問題を踏まえると、介護保険制度はすでに崩壊の兆しを見せていると言えるのではないでしょうか。
2040年には、
✔ 介護サービスを受けたくても受けられない
✔ 家族の負担が増え、介護離職や経済的困窮が深刻化
✔ 認知症高齢者が増え、介護が社会全体の負担に
という事態が現実化する可能性が高いのです。
【第2章】2040年に介護保険は本当に崩壊するのか?

「介護保険が崩壊する」と言われる背景には、財源の逼迫、支え手の減少、要介護者の急増といった現実的な課題があります。2040年に向けて、これらの問題がどこまで深刻化するのか、具体的なデータとともに検証していきます。
1. 介護保険の財源はすでに限界? – 2040年には維持できなくなる?
現在、介護保険制度は「税金」と「保険料」の2つの財源によって運営されています。しかし、この仕組み自体が持続不可能な状態に陥りつつあるのです。
📌 介護保険財源の構成
- 税金(公費):50%
- 保険料:50%(40歳以上の国民が負担)
しかし、少子高齢化の進行によって、今後は税収の減少と保険料負担の増加が避けられません。特に税収の少ない自治体では介護保険財源を確保できない可能性が大きいのです。
📌 2040年に予想される財源の問題点
- 高齢者人口の急増(75歳以上の人口は現在の1.5倍に)
- 支え手の減少(現役世代が30%以上減少)
- 社会保障費の増大(2024年の約1.5倍に膨れ上がる見込み)
このままでは、介護保険の自己負担割合が増加し、サービスを利用できるのは一部の富裕層だけという状況になりかねません。保険あってサービスなしという状況が生まれる自治体も少なくないでしょう。
2. 現役世代の負担が限界 – 支え手不足で制度維持が不可能に
現在の介護保険制度は、40歳以上の国民が支える仕組みになっています。しかし、2040年には現役世代(15~64歳)の人口が急減し、支え手が不足することが明らかになっています。
📌 高齢者1人を支える現役世代の推移
年 | 高齢者1人あたりの支え手数 |
---|---|
2000年 | 5.1人 |
2025年 | 2.3人 |
2040年 | 1.8人 |
🔗 参考:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」
このデータからも分かるように、2040年には、1人の高齢者を1.8人の現役世代が支える状態になります。これは、今の約3分の1の支え手で同じ制度を維持しなければならないということを意味します。
この状況を打開するには、
✔ 介護保険料のさらなる引き上げ(1万円超えも現実的)
✔ サービスのさらなる縮小(要介護3以上でなければ保険適用なし)
✔ 家族による自助努力の推奨(国の支援は最小限)
といった方向へ進むことが予想されます。
3. 介護サービスは縮小し「自己責任」の時代へ
2040年に向けて、政府はすでに「介護保険の縮小路線」を進めています。これはつまり、「介護サービスはすべての高齢者に提供されるものではなくなる」ということです。
📌 政府が進める介護保険改革
- 要介護1・2の訪問介護・デイサービスの保険適用外化
- 利用者負担の増加(2割・3割負担対象者の拡大)
- 居宅介護支援費の自己負担導入
🔗 参考:厚生労働省「介護保険制度の見直しに関する検討資料」
このような改革が進むことで、介護サービスを受けられるのは一部の高齢者のみとなり、多くの人は「自宅で家族が介護をする」ことを余儀なくされるでしょう。介護は家族が抱えるのではなく、社会全体で支えるもの「介護の社会化」を目指して誕生した介護保険制度が、時代とともにその姿を変えようとしています。
4. 介護保険崩壊後の日本社会 – 未来の現実とは?
もし介護保険制度が現在のまま進んで崩壊すると、日本社会にはどのような影響があるのでしょうか?
📌 2040年の日本社会に起こること
- 高齢者の貧困率の上昇(介護費用を負担できない人が増加)
- 介護離職の激増(家族が介護をするために仕事を辞めざるを得ない)
- 在宅介護を強いられる高齢者が増加(家族に介護負担が集中)
- 認知症高齢者のケアが困難に(施設不足で受け入れ先がなくなる)
これは、決して遠い未来の話ではありません。今の政策が続けば、介護は個人や家族の責任に委ねられる時代が到来するのです。
まとめ – 介護保険崩壊のカウントダウンは始まっている
ここまで見てきたように、介護保険制度は2040年までに「崩壊」する可能性が極めて高いと言えます。
✔ 介護保険財源の逼迫 – 保険料負担の限界
✔ 支え手不足 – 現役世代1.8人で1人の高齢者を支える社会
✔ サービス縮小 – 要介護3以上でなければ保険適用外の未来
✔ 家族の負担増加 – 介護離職の増加と経済的困窮
これらの現象が進行すれば、もはや「介護保険があるから安心」という時代は終わると言わざるを得ません。
では、この状況をビジネスチャンスに変える方法はあるのでしょうか?
次の章では、介護保険崩壊後の日本社会で求められる「新たな介護の形」について詳しく解説していきます。
【第3章】介護保険崩壊後に求められる新たな介護の形

前章までで、2040年には介護保険制度の維持が難しくなり、公的支援の縮小が避けられないことを説明しました。しかし、介護が必要な人がいなくなるわけではありません。むしろ、介護保険の縮小によって、「自宅で介護環境を整える」という流れが加速する可能性があります。
この章では、介護保険が縮小しても求められる「新しい介護の形」と、それに伴うビジネスチャンスについて考察します。
1. 介護保険が縮小しても「在宅介護ニーズ」は拡大する
2040年には、高齢者の約8割が「できる限り自宅で生活を続けたい」と考えていると言われています。しかし、介護保険が縮小することで、「自宅での生活を続けるための支援」も減少することになります。
これにより、介護施設への入所が難しくなるだけでなく、在宅介護をする家族の負担がさらに大きくなることが予想されます。
📌 介護保険縮小によって起こる3つの問題
- 介護施設に入りたくても入れない(特養の入所要件が厳格化、施設不足)
- 在宅介護をする家族の負担が増大(訪問介護・デイサービスの縮小)
- 「自費で介護環境を整える」必要が出てくる(住宅改修・介護用品の購入が不可欠に)
つまり、介護保険財源が縮小すると、一人にかかる費用額の大きな施設介護の割合は小さくなり、在宅介護・さらに家族介護やセルフケアという方向性に進んでいきます。公助から共助、さらに自助という傾向が高くなります。このように、自宅で可能な限り生活を継続することの重要性が今以上に高まり、介護リフォームの需要も比例して増加すると考えられます。
2. 介護リフォーム市場は「介護保険だけ」に依存しない仕組みがある
現在、住宅改修の多くは介護保険の「住宅改修費支給制度」によって補助されていますが、介護リフォーム市場は介護保険だけに依存しているわけではありません。
📌 介護保険以外の住宅改修支援制度
- 自治体の独自補助制度(バリアフリー改修助成、転倒防止対策支援など)
- 国の住宅リフォーム支援(長期優良住宅化リフォーム補助金、こどもエコ住まい支援事業など)
- 障害者向け住宅改修助成制度(身体障害者手帳保持者向けのバリアフリー改修補助)
- 民間保険(リフォームローン、住宅ローンの借り換えなど)
🔗 参考:国土交通省「住宅リフォーム支援制度」
厚生労働省の主管する介護保険だけでなく、様々な省庁や部署、さらに民間企業も含めて自宅での生活を安全に過ごすための施策を行っています。もちろん、制度に依存せず、自費でリフォームをするニーズも高くあります。介護保険が縮小しても、自治体や国の別の補助金が活用できる可能性が高いのです。
まとめ – 介護保険縮小後の社会でも介護リフォーム市場は成長する
✔ 介護保険が縮小しても「在宅介護ニーズ」は拡大する
✔ 公的支援がなくなっても、自費市場が拡大する可能性が高い
✔ 介護リフォーム市場は「補助金」だけに依存せず、他の制度も活用可能
このように、介護リフォームは介護保険が縮小しても、むしろ市場として成長し続ける可能性が高いのです。
介護保険崩壊時代における介護リフォームの可能性
本記事を通じて、2040年に向けて介護保険制度の崩壊が現実的な課題となること、そしてその中でも介護リフォーム市場は成長し続けることを解説しました。
📌 この記事のポイント
✔ 介護保険制度は高齢者の急増と財源不足により維持困難になりつつある
✔ 介護サービスの縮小により、在宅介護がますます重要になる
✔ 介護保険が縮小しても、介護リフォームのニーズは増大する(転倒防止・バリアフリー化など)
✔ 公的支援が縮小しても、自費市場が拡大するため、リフォームビジネスは継続的に成長
✔ 異業種からでも介護リフォーム市場に参入しやすく、安定した収益を見込める
📌 介護リフォーム市場は「社会貢献 × 成長ビジネス」
介護リフォーム市場は、社会課題を解決しながら収益を生み出せるビジネスです。
介護保険制度の縮小という厳しい現実の中で、**「住み慣れた家で暮らしたい」**という高齢者の願いを支えることができる分野でもあります。
📌 介護リフォームに興味がある方へ
介護リフォーム市場は、未経験からでも参入できる成長市場です。
まずは、市場動向の理解、ビジネスモデルの選択、そして具体的な準備を進めることが重要です。
🔗 詳細はこちら:介護リフォーム本舗
介護保険崩壊の未来に備え、新しい介護の形をともに築いていきませんか?
