住宅関連のフランチャイズを探すと、賃貸物件の原状回復と、手すり取付などを行う介護リフォームが候補に挙がることがあります。
どちらも住宅を訪問するリフォーム事業です。無店舗や少人数で始められる場合があり、自社施工と協力業者を組み合わせられる点も似ています。建築・リフォーム経験を生かせることも共通しています。
フランチャイズのブランド名も、どことなく似ている名称で、近い事業のように感じられます。
しかし、事業の中身は大きく違います。
原状回復FCは、賃貸物件の退去後に清掃や内装工事を行い、次の入居へ備える事業です。主な営業先は不動産管理会社や物件所有者になります。
介護リフォームFCは、高齢者や要介護者が自宅で安全に暮らすために、手すりの取付や段差解消などを行う事業です。利用者や家族に加え、ケアマネジャーや介護事業者との連携が重要になります。
同じ「リフォーム」でも、需要が生まれる理由、仕事を相談する人、評価される能力が異なるのです。本記事では、介護リフォームFCと原状回復FCを10の視点から徹底比較します。
結論:原状回復FCは不動産法人取引、介護リフォームFCは介護連携が事業の軸です
結論から言うと、原状回復FCは「不動産管理会社の物件運営を支える事業」、介護リフォームFCは「高齢者の在宅生活を地域の介護関係者と支える事業」です。
どちらが優れているという話ではありません。自分が作りたい取引関係と、毎週続けられる営業活動で選ぶ必要があります。
不動産会社への法人営業、短い納期への対応、複数工種の工程管理が得意なら、原状回復FCを検討する理由があります。
高齢者の生活課題に関心があり、介護保険制度を学び、ケアマネジャーや介護事業者との関係を地域で育てたいなら、介護リフォームFCが候補になります。
加盟金や売上モデルだけを見る前に、「誰から相談される事業を作りたいか」を決めてください。
介護リフォームFCと原状回復FCの違いを徹底比較
2つの業態を同じ条件で並べると、共通点と違いが明確になります。
| 比較項目 | 原状回復FC | 介護リフォームFC |
|---|---|---|
| ブランド例 | リフォーム職人・りふぉ~む本舗など | 介護リフォーム本舗 |
| 主な目的 | 退去後の部屋を整え、次の入居へ備える | 高齢者の在宅生活を住環境から支える |
| 需要の起点 | 賃貸物件の退去、空室、入居準備 | 身体状況の変化、転倒不安、介助負担 |
| 主な顧客・連携先 | 不動産管理会社、物件所有者、施工業者 | 利用者、家族、ケアマネジャー、介護事業者、施工業者 |
| 主な工事 | 清掃、クロス、床、補修、設備交換など | 手すり、段差、床、扉、便器などの改修 |
| 案件獲得 | 管理会社への法人営業、紹介、既存取引 | 介護事業者への地域営業、相談、家族からの問い合わせ |
| 評価される力 | 見積り速度、価格、納期、仕上がり、報告 | 身体状況の理解、提案、制度対応、施工品質、連携 |
| 案件の進行 | 退去日と次の入居日に合わせた工程管理 | 関係者と事前確認し、必要性と制度に沿って進行 |
| 継続性の作り方 | 一社が管理する複数物件への継続対応 | 複数のケアマネジャーや介護事業者との関係構築 |
| 必要な専門性 | 原価、複数工種、外注、工程、法人対応 | 介護保険、身体状況、現地調査、書類、介護連携 |
| 事業の時間軸 | 退去ごとに発生する物件単位の対応 | 地域の高齢者相談に継続対応する専門性の蓄積 |
表のブランド例は、業態を理解するために挙げたものです。加盟条件、費用、サポート、募集エリアは各本部で異なり、変更される可能性があります。最新の公式資料と契約書を確認してください。

需要が生まれるタイミングを比較
原状回復FCと介護リフォームFCでは、仕事が必要になる瞬間が違います。需要の起点を理解すると、景気や地域特性との関係も見えます。
原状回復は賃貸物件の退去が仕事の起点です
原状回復は、賃貸物件から入居者が退去した後、次の入居へ向けて室内を整える仕事です。清掃、クロスや床の補修・張替え、設備の修繕などを組み合わせます。
国土交通省は、原状回復を「借りた当時の状態へ完全に戻すこと」とは定義していません。賃借人の故意・過失など、通常の使用を超える損耗を復旧するという考え方を示しています。実際の工事範囲と費用負担は、契約内容や物件状況によって異なります。
事業者にとっての需要は、退去と空室の発生に連動します。賃貸物件が多く、入退去が動く地域では相談機会があります。一方で、繁忙期、管理会社ごとの発注方針、工期、価格条件の影響を受けます。
介護リフォームは身体状況と生活動作の変化から相談が始まります
介護リフォームは、住まいが古くなったから行う工事だけではありません。「玄関の段差を越えにくい」「浴室で立ち上がれない」「廊下で転びそうになった」といった、本人の身体状況や生活動作の変化から相談が始まります。
介護保険住宅改修では、要支援・要介護認定を受けた在宅の利用者について、条件を満たす工事が給付対象になります。厚生労働省は、支給限度基準額を原則20万円とし、手すりの取付、段差解消、床材変更、扉の取替え、便器の取替えなどを対象として示しています。
ただし、同じ工事でも介護保険が必ず使えるわけではありません。利用者の状態、住まい、必要性、自治体の運用を事前に確認します。
原状回復は「物件の入退去」が需要の起点です。介護リフォームは「住む人の生活動作」が起点です。この違いが、顧客と営業方法の違いにつながります。

顧客と案件獲得ルートを比較
2つのFCで最も大きく違うのは、仕事を依頼・相談する相手です。開業後に誰へ会いに行くのかを具体的に想像してください。
原状回復FCは不動産管理会社への法人営業が中心です
原状回復の主な取引先は、不動産管理会社や物件所有者です。一社の管理会社が複数物件を管理していれば、対応品質によって別物件の相談につながる可能性があります。
法人取引で重視されるのは、営業トークだけではありません。現地確認の速さ、見積りの正確さ、価格、納期、工事中の連絡、完了報告、クレーム対応まで含めた運営品質が評価されます。
最初の取引を得るには、管理会社への新規営業や既存人脈の活用が必要です。取引開始後も、継続受注が保証されるわけではありません。管理会社が安心して次の物件を任せられる状態を作る必要があります。
介護リフォームFCはケアマネジャーや介護事業者との関係を作ります
介護リフォームでは、利用者や家族から直接相談を受ける場合もあります。ただし、介護保険住宅改修では、ケアマネジャーなど介護関係者が相談の入り口になることが少なくありません。
営業先は、地域の居宅介護支援事業所、福祉用具事業所、訪問介護、訪問看護などです。チラシを渡して終わるのではなく、どのような相談に対応できるかを伝え、見積り、現地調査、書類、施工、報告を正確に積み重ねます。
原状回復が「管理物件を任せてもらう関係」を作る事業なら、介護リフォームは「高齢者の住環境相談を任せてもらう関係」を作る事業です。
工事内容と現場運営を比較
原状回復FCは、部屋全体と工期を管理する力が問われます。介護リフォームFCは、小規模な工事でも利用者一人ひとりへ合わせる力が問われます。
原状回復は複数工種と納期をまとめる工程管理力が重要です
原状回復では、ハウスクリーニング、クロス、床、建具、設備、補修など、複数の作業が一つの案件に含まれることがあります。
すべてを自社施工する場合もあれば、専門の協力業者へ発注する場合もあります。外注を活用すれば対応範囲を広げられますが、原価、品質、日程、再施工のリスクを管理しなければなりません。
次の入居日が決まっていれば、納期の遅れが管理会社や入居者へ影響します。現場作業の技術だけでなく、段取りと報告が事業の強さになります。
介護リフォームは小規模でも一人ひとりに合わせた提案が必要です
介護リフォームの中心は、手すりの取付や段差解消など、比較的小規模な工事です。しかし、工事が小さいから簡単という意味ではありません。
手すりの位置や高さは、利用者の身長、利き手、歩行状態、立ち座り、介助方法、福祉用具の使用によって変わります。同じ浴室でも、誰にでも同じ位置へ取り付ければよいわけではありません。
現地調査では、本人や家族の話を聞き、生活動線と危険箇所を確認します。必要に応じてケアマネジャーや福祉用具専門相談員と連携し、工事後の使い方まで考えます。
原状回復が「部屋と工程を整える仕事」なら、介護リフォームは「人と生活動作に住まいを合わせる仕事」です。
売上の作り方と継続性を比較
どちらも、一件受注すれば自動的に事業が安定するわけではありません。継続性の作り方が違います。
原状回復は一社の管理物件へ継続対応できるかが鍵です
原状回復では、清掃と内装を組み合わせることで、一案件の工事範囲が広がる場合があります。一社の管理会社から複数物件を任されれば、継続的な取引につながる可能性もあります。
一方で、売上から外注費や資材費が発生します。受注金額だけでなく、原価、再施工、移動、管理工数を含めて採算を確認する必要があります。価格と納期の条件が厳しい案件を多く受ければ、売上が増えても利益が残らない可能性があります。
介護リフォームは地域の複数の相談元との接点を積み上げます
介護保険住宅改修は、小規模工事が中心です。一件の工事規模だけを見れば、原状回復の内装一式や総合リフォームより小さい場合があります。
そのため、現地調査、見積り、書類、施工、報告を効率よく行う仕組みが重要です。また、一人の利用者から何度も工事を受けることだけに依存せず、地域の複数のケアマネジャーや介護事業者との接点を作ります。
相談元が増えれば、別の利用者の困りごとを相談される可能性があります。ただし、紹介や受注を保証するものではありません。対応の速さ、提案の適切さ、書類の正確さ、施工品質を積み上げる必要があります。
原状回復は「取引先が管理する物件数」が継続性に関わります。介護リフォームは「地域の相談元との信頼関係」が継続性に関わります。
参入障壁と本部から学ぶ内容を比較
原状回復FCと介護リフォームFCは、どちらも未経験から始められる仕組みを案内する本部があります。しかし、学ぶ内容は異なります。
原状回復FCで確認したいのは、次の領域です。
- 不動産管理会社への法人営業
- 原状回復範囲と見積り
- 清掃、内装、設備など複数工種の知識
- 協力業者の開拓と発注
- 原価、工程、品質、完了報告の管理
介護リフォームFCで確認したいのは、次の領域です。
- 介護保険住宅改修の制度
- 高齢者の身体状況と生活動作
- ケアマネジャーや介護事業者への営業
- 現地調査と改修提案
- 申請に関わる書類と自治体対応
- 手すり、段差などの施工と安全管理
介護リフォーム本舗では、オンライン3日間と対面2日間の計5日間の開業前研修を行っています。介護リフォームの基礎、営業、現地調査などを学び、開業時と開業後も運営を支援します。
本部を比較するときは、研修日数だけで判断しないでください。開業後に実案件で迷ったとき、見積り、書類、現地調査、技術、営業を誰へ相談できるかまで確認します。
働き方と必要な体制を比較
原状回復FCも介護リフォームFCも、代表者がすべての工事を自分で行う必要があるとは限りません。営業、現地調査、施工、施工管理、事務の役割をどう分けるかで働き方が変わります。
| 働き方の視点 | 原状回復FC | 介護リフォームFC |
|---|---|---|
| 現場の時間軸 | 退去後から次の入居まで納期を意識 | 利用者・関係者と確認し、工事前手続きを意識 |
| 代表者の主な役割 | 管理会社営業、見積り、業者手配、工程・品質管理 | 介護事業者営業、現地調査、提案、書類、施工管理 |
| 外注活用 | 清掃、クロス、床、設備など工種別に活用 | 施工内容や自社体制に応じて協力業者を活用 |
| 事務作業 | 見積り、発注、日程、写真、完了報告、請求 | 見積り、図面、申請関連書類、写真、完了報告、請求 |
| 注意点 | 短納期、原価、再施工、業者確保 | 制度確認、身体状況、工事位置、関係者連携 |
一人開業を考える場合は、売上モデルだけでなく、一日に対応できる現地調査と現場数、移動時間、事務時間、体調不良時の対応を確認してください。
法人の新規事業なら、既存社員と協力業者のどちらを活用できるかを整理します。既存の施工力があっても、新しい営業先への開拓を担う担当者がいなければ事業は進みません。

原状回復FCが向いている人、介護リフォームFCが向いている人
原状回復FCが向いているのは、不動産会社との法人取引を作り、複数物件の工程を管理できる人です。
次の条件に当てはまるなら、原状回復FCを具体的に検討する価値があります。
- 不動産管理会社への法人営業に取り組める
- 見積りと返答の速さを重視できる
- 複数の協力業者を手配・管理できる
- 清掃、内装、設備をまとめて管理したい
- 納期と原価を細かく管理できる
介護リフォームFCが向いているのは、高齢者の在宅生活を支える仕事に関心があり、地域の専門職との関係を時間をかけて作れる人です。
次の条件に当てはまるなら、介護リフォームFCを比較対象に入れてください。
- リフォームや施工の経験を介護分野で生かしたい
- 介護保険制度と書類を正確に学べる
- 高齢者本人と家族の話を丁寧に聞ける
- ケアマネジャーや介護事業者へ継続営業できる
- 地域で介護リフォームの専門事業者を目指したい
短期間でどちらが稼ぎやすいかという問いだけでは判断できません。希望エリアの取引先候補、競合、既存人脈、自分の営業力によって結果が変わります。
加盟前に同じ条件で確認したい10項目
2つのFC本部へ資料請求するときは、同じ項目で比較してください。
- 加盟金、研修費、保証金を含む総開業費用
- ロイヤリティ、システム料、広告費などの継続費用
- 車両、工具、事務所、倉庫、在庫の必要性
- 募集エリアと既存加盟店、エリア保護の考え方
- 本部紹介と加盟店自身の営業の役割分担
- 開業前研修と開業後研修の具体的な内容
- 協力業者の紹介、開拓、品質管理への支援
- 見積り、図面、書類、案件管理のシステム
- 収益モデルの件数、単価、原価、人員、広告費の前提
- 契約期間、更新、解約、競業避止、撤退条件
収益モデルは成果を保証するものではありません。売上額だけでなく、外注原価、資材、移動、再施工、営業、事務にかかる時間を含めて資金計画を作ります。
既存加盟店への面談が可能なら、開業前に想定していた営業と実際の営業がどう違ったか、本部の支援をどの場面で使ったか、黒字化までに必要だった運転資金はいくらかを確認すると判断材料になります。
介護リフォームFCも比較候補に入れてください
原状回復FCは、賃貸住宅の退去後工事に特化し、不動産管理会社との法人取引を積み上げる事業です。介護リフォームFCは、高齢者の生活動作に合わせて住環境を整え、介護事業者との地域連携を積み上げる事業です。
同じ住宅関連FCでも、作るべき顧客関係は異なります。
介護リフォーム本舗は、介護保険住宅改修を中心としたフランチャイズです。手すりの取付や段差解消など、高齢者が自宅で生活を続けるための住環境整備に取り組みます。
介護リフォーム本舗のフランチャイズ資料では、加盟条件、開業までの流れ、研修内容、サポート体制、営業方法、収益モデルを確認できます。
原状回復FCと介護リフォームFCのどちらが自分に合うか迷っている方は、資料請求またはオンライン説明会を利用し、希望エリアの営業先、必要な施工体制、開業後に毎週続ける活動まで比べてください。








