労働安全衛生法改正で建設業はどうなる?

2026年労働安全衛生法改正で建設業経営者は何が変わる?労災リスクの見直し方

2026年4月から段階的に施行されている改正労働安全衛生法では、一人親方を含む安全衛生対策の強化や、注文者・元請の責任の明確化が進み、「事故を起こさなかったか」だけでなく「事故を防ぐ体制を整えていたか」が問われます。建設業では令和6年にも232人が死亡災害で亡くなっており、個人の注意に頼る安全管理には限界があります。経営者は、手順書やチェックリストによる標準化とあわせて、リスクの低い事業分野を加えてリスク構造を分散する視点を持つことが大切です。

建設業では毎年、多くの労働災害が発生しています。事故は被災者本人だけでなく、会社の信用、取引関係、採用活動にも影響します。売上や受注の拡大だけを追う経営は、事故が起きた瞬間に止まりかねません。

この記事でわかること

建設業の労働災害の現状と、事故が減りにくい構造的な理由
労働安全衛生法の基本と、2026年の法改正で経営者に求められること
新規事業でリスク構造を分散するという考え方
安全管理をマニュアル化して仕組みで運用する方法

建設業経営リスク管理の新常識。2026年の法改正

建設業の労働災害は、なぜ多いのか?

高所・屋外・重機を使う作業が多く、協力会社や一人親方を含む多層構造で標準化しにくいという「構造」に原因があるからです。

建設業は業種として労働災害の発生率が高い

建設業は全産業の中でも労働災害が多く、重大事故につながりやすい構造を持つ業種です。

建設業労働災害防止協会が公表している「建設業における労働災害発生状況」によると、建設業では休業4日以上の死傷者が毎年1万人を超える水準で推移しています。死亡災害も年間200人前後で発生しており、令和6年は232人が死亡災害で亡くなっています。

建設業における労働災害発生状況グラフ

出典:建設業労働災害防止協会 公表統計

平成元年の1,017人と比べると大幅に減少していますが、決して無視できない数字です。特に多いのが「墜落・転落」です。屋根工事、足場作業、外壁工事など高所での作業が多いことが背景にあり、わずかな判断ミスや確認不足が重大事故につながります。

建設業の労働災害が減りにくい理由は、次のような特徴にあります。

悩んでいるリフォームスタッフ

建設業の事故リスク

・高所、屋外、重機使用など危険度の高い作業環境
・協力会社や一人親方を含む多層構造の現場
・現場ごとに条件が異なり、標準化が難しい
・経験や勘に依存しやすい現場運営

これらの労働災害は、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」で労働災害事例としてデータベースにまとめられています。

個々の作業員の注意だけでは限界があり、事故は「不注意」ではなく「構造」から生まれます。経営者が見るべきなのは、事故件数そのものよりも、自社の事業内容がどの程度リスク構造を抱えているかです。高所作業や重量物作業が多い事業モデルであれば、重大事故のリスクは構造的に高くなります。危険の大きい現場は、若手の採用や定着にも影響します。人材面の課題は、建設業の離職率は高いのか、若手が育たない事情で解説しています。

2026年の法改正で、経営者は何を求められるのか?

労働安全衛生法は事業者に安全管理体制の整備を義務づける法律で、2026年の改正によって、一人親方や協力会社を含めた安全配慮の範囲と、注文者・元請の責任がより明確になります。

労働安全衛生法とは

「労働安全衛生法」は、事業者に安全管理体制の整備を義務づける法律です。さらに2026年の法改正により、その責任はより明確化・拡大されます。

労働安全衛生法は、1972年に制定された、労働者の安全と健康を確保することを目的とする法律です。建設業を含むすべての事業者に、安全衛生管理体制の整備を求めています。建設業の経営者が押さえるべき主な義務は次のとおりです。

介護リフォームスタッフアイコンイメージ

労働安全衛生法が定める経営者の責務

・危険防止措置の実施
・安全衛生教育の実施
・リスクアセスメントの実施
・安全衛生管理者等の選任
・作業環境の整備

リスクアセスメントとは、作業に潜む危険を事前に洗い出し、発生の可能性と重大性を評価して、低減措置を講じる手法です。事故後の対応ではなく、事前の予防が原則です。

重要なのは、事故が起きたかどうかだけでなく、防止体制を整備していたかが確認される点です。労働基準監督署の調査では、手順書の未整備や教育記録の不足が是正の対象になることがあります。建設業の経営を取り巻くリスク全体への向き合い方は、建設業におけるリスクマネジメントで整理しています。

2026年4月から段階的に施行される改正のポイント

2026年4月1日から、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)」に基づく改正が段階的に施行されています。この改正では、次のような取り組みが進められます。

  • 個人事業者や一人親方を含めた安全衛生対策の強化
  • 注文者や元請事業者の責任の明確化
  • 安全管理体制や報告制度の整備

建設業は、協力会社や一人親方を含む多層構造の現場が一般的です。今回の改正は、こうした構造を前提に、安全配慮の範囲を広げる方向にあります。「直接雇用ではないから責任が軽い」という整理は難しくなり、安全管理は現場任せではなく、経営が設計する体制として整える必要があります。

これまでは「事故を起こさないこと(結果)」が重視されてきましたが、改正後は「事故を防ぐための体制を整えていたか(プロセス)」がより問われます。働き方や労務費に関わる建設業法の改正については、改正建設業法と標準労務費で解説しています。

労災リスクの低い新規事業はあるのか?

あります。住宅内で行う手すりの設置や段差解消などは、足場を組む高所作業と比べて重大災害のリスクを抑えやすい分野です。

建設業でもリスクの低い新規事業を選択できる

建設業全てが高リスクではない。事故リスクの低い新規事業を組み合わせることが現実的な選択です。

建設業の労働災害は、墜落・転落など高所作業に起因する重大事故が中心です。足場工事や屋根工事、大規模改修などは構造的にリスクを抱えます。しかし、すべての工事が同じリスク水準ではありません。高所・重機中心の工事、屋外作業が主体の工事、住宅内中心の小規模改修工事では、事故が重大化するリスクが異なります。

とはいえ、主力事業をすぐに転換するのは現実的ではありません。職人の技能、既存顧客、地域での立ち位置があるからです。そこで考えられるのが、新規事業による分散です。既存事業を維持しながら、次のような方法をとります。

  • 重大事故リスクの比較的低い工事分野を追加する
  • 住宅内中心の改修市場に参入する
  • 小規模案件の安定した受注を積み上げる

住宅内で行う手すり設置や段差解消、バリアフリー改修などは、足場を組む高所工事とは作業の特性が異なり、重大災害のリスクを相対的に抑えやすい分野です。新規事業の選び方と始め方は、建設業の新規事業のアイデアと始め方で詳しく解説しています。

安全意識を高めることはもちろん重要ですが、事業の組み合わせをリスクの低い方向へ見直すことも一つの手段です。介護リフォーム本舗が提供している介護リフォームも、こうした低リスクの工事が中心です。介護分野への参入で押さえておきたい点は、介護業界の参入障壁は本当に高いのかで整理しています。

介護リフォーム本舗の事業内容は、次の案内からも確認できます。

加盟店募集資料請求
オンライン事業説明会

経営として重要なのは、売上源を増やすことと同時に、リスク構造を分散させることです。外部環境の変化や事故に備えて事業の柱を持つ考え方は、BCP(事業継続計画)で建設業の経営を強化する方法でも解説しています。

低リスクの事業でも労災を防ぐには、何が必要か?

手順書・チェックリスト・教育記録など、安全管理を個人ではなく仕組みとしてマニュアル化し、運用することです。

低リスクな事業でも起こりうる労働災害

リスクの低い事業だとしても、労働災害はゼロにはなりません。重要なのは、安全管理をマニュアル化し、仕組みとして運用することです。

住宅内中心の小規模改修であっても、脚立作業や電動工具の使用、資材の搬入などのリスクはあります。事故の規模は小さくなる傾向があっても、油断が事故を生みます。

補強板をノコギリで切っているときに自分の指を傷つけてしまった
作業中、手からインパクトドライバーを落としてしまった
階段の手すり施行中に足を滑らせて転倒してしまった

建設業の労働災害は、多くの場合、次のような要因が重なって起こります。

悩んでいるリフォームスタッフ

労働災害の要因

・作業手順の省略
・事前確認の不足
・教育の未実施
・暗黙知に依存した現場運営

これらは現場の個人の能力の問題ではなく、仕組みの問題です。個人の注意や意識の向上には限度があり、労働安全衛生法が求めているのも「注意」ではなく「体制」です。具体的には、次のような取り組みが挙げられます。

  • 標準施工手順書の整備
  • 安全チェックリストの運用
  • 危険予知活動の実施
  • 教育履歴の記録
  • 定期的な見直し

安全管理を属人的に行うと、担当者が変わった瞬間に崩れます。特に新規事業では、経験の浅い分野ほど事故リスクが上がります。だからこそ、立ち上げ段階からマニュアルを前提に設計することが重要です。安全を経験でカバーするのではなく、標準化で担保する考え方が、法改正後の経営ではより重要になります。

安全管理の体制をゼロから作るのが難しい場合は、どうすればよいか?

施工手順や安全チェック項目が体系化されたフランチャイズ(FC)モデルを活用するのも、一つの方法です。

安全管理を自社構築するには?

安全管理をゼロから自社構築するのが難しい場合、マニュアル化されたフランチャイズモデルは合理的な選択肢です。

新規事業を立ち上げる際、多くの企業が直面するのは「何から整備すべきか分からない」という問題です。施工手順、見積基準、教育内容、安全管理体制のすべてを自社で設計するには、時間と検証が必要です。特に安全管理は後回しになりやすい分野ですが、労働安全衛生法が求めるのは、形式的な資料ではなく実際に運用される体制です。社内の研修やマニュアルづくりの課題は、リフォーム会社の研修とマニュアルの課題で取り上げています。

FCとは、本部が確立した事業モデルを加盟店が活用する仕組みで、施工基準、業務フロー、研修制度、マニュアルが体系化されている点が特徴です。安全面では、次のようなメリットがあります。

  • 標準施工マニュアルが整備されている
  • 安全チェック項目が明文化されている
  • 研修で基本動作を統一できる
  • 施工品質と安全基準が共通化される

安全管理を事業の構造の中に組み込める点が重要です。住宅内中心の改修分野である介護リフォームは、手すりの設置や段差解消など工事内容が一定の範囲に収まり、作業の特性が比較的安定しているため、施工手順と安全対策を標準化しやすい分野です。介護リフォーム本舗の開業前研修では、基本的な手すりの取付工事の施工手順を指導しているため、注意すべきポイントも身につけられます。

自社で安全管理を一から設計する方法もありますが、法改正や安全管理強化の流れを踏まえると、すでに体系化されたモデルを活用する方が効率的な場合もあります。FCという仕組みの長所と注意点は、フランチャイズ起業のメリット・デメリットで整理しています。

よくある質問

まとめ|事故を防ぐ「体制」と、リスクを分散する事業設計を

建設業の労働災害は依然として高い水準にあり、2026年4月からは改正労働安全衛生法が段階的に施行され、安全管理体制の整備はこれまで以上に重視されます。重要なのは、事故を起こさないことだけでなく、事故を防ぐ体制を持っているかどうかです。既存事業を守りながら新規事業でリスク構造を分散し、そのうえで安全管理を最初からマニュアル化する。この設計が、これからの建設業経営の安定につながります。

介護リフォーム本舗は、高齢者の自宅での手すり取付などを中心とした介護リフォームに特化したFCです。労働災害のリスクが比較的低い事業で、基本的な業務もマニュアル化されており、累計16万件の工事実績から得たノウハウを安全対策にも生かしています。高齢化社会のニーズに応え、地域に貢献できる新規事業の選択肢の一つとして、関心のある方は資料や説明会で確認してみてください。

介護リフォーム本舗FC事業説明会
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