本当に儲かるの?フランチャイズのメリットとデメリット
副業や定年後のセカンドキャリア、ライフスタイルの多様化により、「自分の力で何か始めたい」と考える人が年々増えています。特に2020年以降、社会や働き方の変化を受けて、独立・起業を目指す人が急増しました。
そんな中で、注目を集めているのが「フランチャイズ(FC)」という選択肢です。
フランチャイズと聞くと「飲食チェーンのイメージが強い」「自由度がなさそう」などの声もありますが、実は今、幅広い業種でフランチャイズモデルが広がっており、個人でも参入しやすくなっているのです。
とはいえ、「本当に儲かるの?」「自由がないんじゃないの?」といった疑問や不安も当然あります。
この記事では、これから起業を検討しているあなたのために、フランチャイズ起業のメリット・デメリットを最新のデータと共に徹底的に解説していきます。
読み終わる頃には、自分にとってフランチャイズという選択肢が適しているのかどうか、より明確になっていると思います。
まずは、フランチャイズの基本から見ていきましょう。
そもそもフランチャイズとは?仕組みと広がる業種
「フランチャイズ」という言葉を聞いたことがあっても、その仕組みを正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。ここでは、フランチャイズビジネスの基本構造と、最近の動向についてわかりやすく整理します。
フランチャイズの基本構造

フランチャイズ(Franchise)は、「本部(フランチャイザー)」と「加盟者(フランチャイジー)」の契約によって成り立つビジネスモデルです。
本部は、すでに成功しているビジネスモデルやブランド、商品、ノウハウ、研修、経営支援などをパッケージ化して提供します。加盟者は、それらを活用しながら自分のエリアで事業を展開していく形です。
イメージとしては、「仕組みを借りて、自分で運営する」スタイル。会社員と雇用関係ではなく、あくまで「経営者としての独立」です。
日本のフランチャイズ市場は、多様な業種にわたり、経済においても重要な位置を占めています。
2021年度の日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の調査によると、売上高は25兆8,809億円に達し、1,286のチェーン本部と250,288の店舗が存在しています 。この大規模な市場は、新規参入者にとっても多くの機会を提供していると考えられます。
加盟者が受けられる主な支援は以下の通りです:
- 開業前の研修・マニュアル提供
- 店舗開発や物件選定のサポート
- 販促ツールや広告戦略の提供
- 仕入れ体制の共有(本部一括仕入れなど)
- 開業後の経営アドバイスやSV(スーパーバイザー)の訪問支援
このように、ゼロから事業を組み立てなくても、「すでに成功している型」に乗ることができるのが大きな特長です。
飲食だけじゃない!多様化するフランチャイズ業種
フランチャイズと聞いて「コンビニやファストフード」を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし現在では、飲食業以外にもさまざまな分野でフランチャイズ化が進んでいます。
注目されている業種の一例:
- 小売(買取専門店、ブランドリユース、スマホ修理など)
- 教育・習い事(学習塾、プログラミング教室、英語教室など)
- 美容・健康(パーソナルジム、エステ、リラクゼーションなど)
- 生活支援(ハウスクリーニング、家事代行、鍵修理、便利屋)
- 介護・福祉(訪問介護、デイサービス、介護リフォーム)
このように、現代のニーズに即した業種が続々とフランチャイズ化されており、個人でも始めやすい低資本モデルも増えています。
これにより、「飲食店の経験がないと無理」といった従来のイメージを覆し、異業種・未経験者でもチャレンジしやすい環境が整ってきているのです。
本部と加盟者の関係は「上下」ではなく「パートナー」
よく誤解されがちなのが、「フランチャイズって、本部の下請けじゃないの?」というイメージ。実際には、加盟者は独立した事業者であり、契約に基づいて自分の店・事業を経営する立場です。
もちろん、本部のブランドやルールを守る必要はありますが、決して「社員」や「雇われ」のような立場ではありません。
本部と加盟者は「同じブランドを広げていくパートナー」という位置づけなのです。
次は、そんなフランチャイズ起業の「メリット」に焦点を当て、独立開業と比較しながら詳しく見ていきます。
フランチャイズ起業には、独立開業にはない数々の強みがあります。このセクションでは、主な7つのメリットを、実際のデータや事例とともに紹介します。
データで分かる、フランチャイズ起業のメリット7選
1. 成功確率が高い

起業において最大の関心ごとのひとつが「生き残れるかどうか」。一般的に、独立開業の場合、5年後の事業継続率は30〜40%程度といわれています。一方、フランチャイズに加盟した場合、その生存率は70%以上に達する(※マイナビ調査)という調査もあります。
つまり、フランチャイズを活用することで、約2倍の確率で事業を継続できる可能性があるのです。
2. 未経験からでも始めやすい
フランチャイズは、業界未経験者でもスタートしやすい仕組みが整っています。開業前の研修やマニュアル、現場指導などが充実しており、たとえば「介護業界」「修理サービス業界」など専門性が高く見える業種でも、実際には8割以上が異業種からの参入者という例もあります。
「経験ゼロ」からの起業を支えるのが、フランチャイズの大きな特長です。
3. 立ち上がりが早く、収益化しやすい
開業から黒字化までにかかる期間も、フランチャイズは短い傾向があります。マイナビの調査では、5年以上フランチャイズを続けているオーナーのうち、約75%が「開業から2年以内に黒字化」したと回答しています。
参照:マイナビ独立「フランチャイズオーナー500人アンケート」
これは、ブランド認知とノウハウの存在により、開業直後から一定の集客・売上を得やすいことが背景にあります。
4. ブランド力が使える
起業初期の最大の課題は、「どうやってお客様に知ってもらうか」。フランチャイズでは、知名度のある屋号や看板を使えるため、開業初日から集客効果が期待できます。
たとえば地域に店舗展開しているチェーンやCM・チラシを展開している本部なら、検索や口コミでも見つけてもらいやすく、ゼロからの認知構築に比べて大きなアドバンテージとなります。
5. 本部の営業・販促サポートが受けられる
フランチャイズ加盟の大きな安心材料が、本部による営業支援です。営業ノウハウ、販促物(チラシ・Webバナー)、キャンペーン企画、SNS運用サポート、売上分析など、多くの場面で力強いサポートを受けることができます。
「営業が苦手」「販促のやり方がわからない」という方にとって、まさに強力なバックアップ体制といえるでしょう。
6. 比較的低資金で開業できるモデルも多い
独立開業には資金が必要です。ただ、ここ近年、開業費用の平均値は小額化の傾向にあります。とはいえ、中央値では550万円と、資金が必要なケースも多く、運転資金なども考えると、十分な貯蓄が必要です。

フランチャイズには300万円未満で始められるプランも増えています。特に店舗を持たない訪問型サービスや在宅ワーク型フランチャイズでは、自己資金100万円以下で始める人も少なくありません。
7. 金融機関からの融資が通りやすい
実績あるフランチャイズ本部と提携して起業する場合、融資申請時の信用力が高まる傾向にあります。日本政策金融公庫などの公的融資制度でも、フランチャイズ加盟開業者が多数活用しており、起業計画に説得力を持たせやすいというメリットがあります。
金融機関側にとっても、「既に確立されたビジネスモデル」であることは、貸し出し判断の安心材料になるのです。
以上がフランチャイズ起業の7つの大きなメリットです。
次は、「とはいえ、注意すべき点もある」という視点で、デメリット・リスク面について具体的に解説していきます。
フランチャイズ起業のデメリット 5つ
フランチャイズには多くのメリットがありますが、当然ながら注意すべき点やリスクも存在します。このセクションでは、起業前に知っておきたいフランチャイズの「落とし穴」と、その対策について解説します。
1. 自由度が制限される
フランチャイズは、あらかじめ確立されたビジネスモデルに沿って運営されます。そのため、商品・価格・サービス内容・広告の打ち出し方などについては、本部のルールに従う必要があります。
「自分のやり方で自由に経営したい」「独自のサービスを展開したい」と考えている方にとっては、窮屈に感じることもあるかもしれません。
とはいえ、こうした統一性がブランドの信頼につながっている面もあるため、「自由」と「安定」のバランスを見極めることが重要です。
また、現実自由が制限されるというデメリットがあるとしても、フランチャイズ加盟者とフランチャイズに加盟していない独立自営業者とを比較しても、その職務満足度はほとんど変わらないという調査データもあります。
仕事である以上、法やコンプライアンスなど、様々な制限があります。特に介護などの制度下のビジネスの場合は細かいルールが存在します。フランチャイズという形式で制限されるのではなく、最適化されるという見方をすることもできます。
参照:ニッセイ基礎研究所「フランチャイズ加盟者と独立自営業者の職務満足度の比較」
2. ロイヤリティや契約料がかかる
フランチャイズでは、加盟金・ロイヤリティ(=ロイヤルティ:定額または売上の○%)といった費用がかかります。これらは事業継続中も発生するため、粗利とのバランスが取れていないと「売上が上がっても手元に残らない」状態になることもあります。
特に、売上連動型のロイヤリティを採用している本部の場合、売上が伸びるほど支払額も増えるため、契約時にしっかり内容を確認しておきましょう。
3. 本部の質に大きく左右される
フランチャイズの成功・失敗は、本部の質に大きく影響されます。
- 研修やサポートが形だけで実質機能していない
- 市場調査が甘く、集客できないビジネスモデルだった
- 契約書の中身が曖昧でトラブルに発展
など、いわゆる「失敗フランチャイズ」も存在します。
そのため、加盟前には必ず説明会に参加し、契約書の内容を確認し、既存オーナーの声を聞くことが不可欠です。
4. 本部の方針転換・撤退リスク
フランチャイズ契約は、一定期間(3年~5年程度)で結ばれるのが一般的です。しかし、その間に本部が方針を転換したり、業績不振で撤退したりするケースもあります。
たとえば、業態転換(店舗のリブランディング)を強制されたり、新しい仕入先を指定されてコストが増えたりすることも。
このようなリスクに備えるには、「契約解除の条件」や「更新時の取り決め」などをあらかじめ契約書で確認しておくことが重要です。
5. フランチャイズだからといって成功が保証されるわけではない
繰り返しになりますが、フランチャイズは「成功しやすい仕組み」ではあるものの、100%成功するとは限りません。
加盟者自身の営業努力・マネジメント力・地元理解・人材採用など、経営者としての資質も当然求められます。
とはいえ、これらのリスクを事前に理解し、しっかりと情報収集・契約内容確認・本部比較を行えば、回避可能なものがほとんどです。
本部との契約内容については必ずしっかり確認しましょう。
次のセクションでは「どんな人がフランチャイズ起業に向いているのか?」という視点から、自分に合っているかどうかを見極めていきましょう。
成長するフランチャイズの選び方|失敗しない本部選びのポイント
フランチャイズ起業を成功させるためには、「どの本部を選ぶか」が極めて重要です。同じ業種・同じエリアで開業しても、加盟する本部によって結果が大きく変わることも珍しくありません。
ここでは、失敗を避け、成長できる本部を見極めるための視点をご紹介します。

1. 業界としての成長性があるか?
人口動態や社会の課題とマッチしている業種は、長期的に安定したニーズが見込めます。
特に注目されている分野の一例:
- 高齢化によってニーズが拡大している「介護・リフォーム・福祉サービス」
- 時間不足社会に対応する「家事代行・ハウスクリーニング」
- 環境問題・循環型社会に関連する「買取・修理・リユース」
- デジタル化・副業ブームに対応した「小規模ITサービス・教室系FC」
こうした「社会課題とビジネスが一致している」業種は、急成長している本部が多く、今後も拡大が期待されます。
2. 契約内容やサポート体制が明確か?
以下のような情報が事前に開示されているかを必ず確認しましょう。
- 加盟金、ロイヤリティ、契約期間などの明示
- 売上モデルや損益シミュレーションの提示
- 開業前研修・現場同行・販促支援などの具体的内容
- オープン後のサポート頻度や相談体制(SVの訪問など)
「説明があいまい」「いいことしか言わない」本部には注意が必要です。
3. 既存オーナーの声を確認したか?
最も信頼できる情報源は、すでに加盟して事業を運営しているオーナーの声です。
- 実際の売上はどうか?
- サポートの内容は実情と合っているか?
- 本部との関係性や柔軟さは?
- 「もう一度選ぶとしても同じ本部を選ぶか?」
既存オーナーのインタビュー記事や情報などがあれば参考にしましょう。
4. 自分のライフスタイル・強みに合っているか?
どれだけ業績が好調な本部でも、「自分に合っていない」と続きません。
- 顧客対応が得意か、現場作業が得意か?
- 土日休みが欲しいか?繁忙期に働けるか?
- 営業活動に出るタイプか?待ち型がいいか?
- ひとりで完結できるビジネスか?スタッフ採用が必要か?
自分の性格・体力・人脈・希望する働き方と合致しているかをしっかり見極めることが大切です。
注目業種|高齢社会でニーズ拡大「介護リフォーム」
少子高齢化が加速する日本では、「介護」や「在宅生活の支援」に関するビジネスが今後ますます重要になっていきます。その中でも注目されているのが「介護リフォーム」です。
■介護リフォームとは?
手すりの取り付け、段差解消、和式から洋式トイレへの変更、浴室のバリアフリー化など、高齢者や障がい者が自宅で安全に暮らせるよう住環境を整える住宅改修のことを指します。
■介護保険が使える=国の制度に支えられたビジネス
介護リフォームは介護保険制度の対象となっており、対象者1人あたり20万円までの改修費に対し、最大9割が保険でカバーされます。
つまり「顧客が自己負担しやすい」「営業しやすい」仕組みが制度として整っているのが強みです。
■高齢化と在宅介護ニーズの増加
高齢者の約8割は「住み慣れた自宅で暮らしたい」と考えており、介護施設ではなく在宅生活を望む傾向が強まっています。それに伴い、住宅改修の需要も拡大しています。
■地域密着・リピート性もある
介護リフォームは地域密着型ビジネスで、福祉用具やデイサービスとの連携、ケアマネジャーとの協力など、長期的な関係性の中で仕事が継続しやすい業種です。
また、手すり・段差解消→浴室→トイレなど、段階的にリフォームが進むため、リピート需要もあります。
■未経験でもフランチャイズでの参入ならチャンス
福祉・建築の知識がなくてもスタートできるよう、ノウハウをパッケージ化したフランチャイズも増えており、未経験からの参入事例も多くあります。「介護リフォーム本舗」は介護リフォームに特化したフランチャイズ本部として、累計13万件の工事実績を誇ります。全国累計100店舗を越える加盟店とともに多くの方の快適生活の実現をお手伝いしています。
まとめ|あなたに合った起業スタイルを選ぼう
フランチャイズ起業には、
- 高い成功率
- 未経験からの挑戦のしやすさ
- ブランド力と本部の支援
- 比較的低資金での開業
といった多くのメリットがあります。
一方で、
- 自由度の制限
- ロイヤリティの負担
- 本部選びのリスク
といった注意点もあります。
すべての人にフランチャイズが最適とは限りません。
だからこそ大切なのは、「自分の価値観・経験・ライフスタイルに合っているかどうか」を見極めることです。
この記事で紹介してきた内容を参考に、あなたに合った起業スタイルをぜひ見つけてください。
