建設業では毎年、多くの労働災害が発生しています。高所作業や足場作業など、重大事故につながりやすい工程が多いことが背景にあります。事故は被災者本人だけでなく、会社の信用、取引関係、採用活動にも影響します。
ここにもう一つの変化があります。労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を守るために事業者へ安全管理体制の整備を義務づける法律です。2026年4月には、この法律の改正が予定されており、安全対策の対象や責任の範囲が広がります。
つまり、これからは「事故を起こさなければよい」ではなく、「事故を起こさない体制を持っているか」「企業として事故防止に努めているか」が問われる時代です。
売上や受注拡大だけを追う経営は、事故が起きた瞬間に止まります。労働災害は人的損失だけでなく、行政対応や信用低下といった経営リスクを伴います。
本記事では、建設業の労働災害の現状を整理したうえで、法改正のポイントと、経営として見直すべき安全管理の方向性を解説します。

建設業の労働災害はなぜ多いのか
建設業は業種として労働災害の発生率が高い
建設業は全産業の中でも労働災害が多く、重大事故につながりやすい構造を持つ業種です。
建設業労働災害防止協会が公表している「建設業における労働災害発生状況」によると、建設業では休業4日以上の死傷者が毎年1万人を超える水準で推移しています。死亡災害も年間200人前後で発生しています。
令和6年は232人の方の死亡災害が発表されています。
この数字、平成元年には1017人だったことを考えると大幅に減少しています。ただ、もちろん減っているとはいえ、まだまだ無視できない数字であることに変わりありません。
特に多いのが「墜落・転落」です。屋根工事、足場作業、外壁工事など、高所での作業が多いことが背景にあります。わずかな判断ミスや確認不足が重大事故につながります。
建設業の労働災害が減りにくい理由は、次のような特徴にあります。
これら労働災害については厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」の労働災害事例としてデータベースにまとめられています。
つまり、個々の作業員の注意だけでは限界があります。事故は「不注意」ではなく「構造」から生まれます。
経営者が見るべきなのは、「事故件数」そのものよりも、「自社の事業内容がどの程度リスク構造を抱えているか」です。高所作業や重量物作業が多い事業モデルであれば、重大事故リスクは構造的に高くなります。

労働安全衛生法とは何か。2026年の法改正で経営者が負う責任
労働安全衛生法とは
「労働安全衛生法」は、事業者に安全管理体制の整備を義務づける法律です。さらに2026年の法改正により、その責任はより明確化・拡大されます。
労働安全衛生法は、1972年に制定された、労働者の安全と健康を確保することを目的とする法律です。建設業を含むすべての事業者に対し、安全衛生管理体制の整備を求めています。
建設業の経営者が押さえるべき主な義務は次のとおりです。
リスクアセスメントとは、作業に潜む危険を事前に洗い出し、発生可能性と重大性を評価し、低減措置を講じる手法です。事故後の対応ではなく、事前予防が原則です。
重要なのは、事故が起きたかどうかだけでなく、「防止体制を整備していたか」が確認される点です。労働基準監督署の調査では、手順書の未整備や教育記録の不足が是正対象になることがあります。
さらに、2026年4月1日からは「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)」に基づく改正が段階的に施行されます。
この改正では、
・個人事業者や一人親方を含めた安全衛生対策の強化
・注文者や元請事業者の責任の明確化
・安全管理体制や報告制度の整備
などが進められます。
建設業は協力会社や一人親方を含む多層構造の現場が一般的です。今回の改正は、こうした構造を前提に、安全配慮の範囲を広げる方向にあります。
「直接雇用ではないから責任が軽い」という整理は難しくなります。安全管理は現場任せではなく、経営が設計する体制として整える必要があります。
新規事業でリスク構造を分散するという考え方
建設業でもリスクの低い新規事業を選択できる
建設業全てが高リスクではない。事故リスクの低い新規事業を組み合わせることが現実的な選択です。
建設業の労働災害は、墜落・転落など高所作業に起因する重大事故が中心です。足場工事や屋根工事、大規模改修などは構造的にリスクを抱えます。
しかし、すべての工事が同じリスク水準ではありません。
・高所・重機中心の工事
・屋外作業が主体の工事
・住宅内中心の小規模改修工事
業態によって事故の重大化リスクは異なります。
とはいえ、主力事業をすぐに転換することは現実的ではありません。職人の技能、既存顧客、地域での立ち位置があります。
そこで考えられるのが「新規事業での分散」です。
既存事業を維持しながら、
・重大事故リスクの比較的低い工事分野を追加する
・住宅内中心の改修市場に参入する
・小規模案件の安定受注を積み上げる
という方法です。
例えば、住宅内で行う手すり設置や段差解消、バリアフリー改修などは、足場を組む高所工事とは作業特性が異なります。重大災害リスクを相対的に抑えやすい分野です。
「安全意識」を高めるのはもちろん重要ですが、「事業ポートフォリオ」をリスクの低い事業にすることもひとつの手段です。
私たち、介護リフォーム本舗が提供しているサービスも、これら低リスクの工事が中心です。
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経営として重要なのは、売上源を増やすことと同時に、リスク構造を分散させることです。
労働災害を限りなくゼロに近づけるために。鍵はマニュアル化
低リスクな事業でも起こりうる労働災害
リスクの低い事業だとしても、労働災害はゼロにはなりません。重要なのは、安全管理をマニュアル化し、仕組みとして運用することです。
住宅内中心の小規模改修であっても、脚立作業や電動工具の使用、資材搬入などのリスクはあります。事故の規模は小さくなる傾向があっても、「油断」が事故を生みます。
建設業の労働災害は、多くの場合、次のような要因が重なります。
これらは、現場の個人能力の問題ではありません。仕組みの問題です。
個人の注意や意識の部分での向上には限度があります。
労働安全衛生法が求めているのも、「注意」ではなく「体制」です。
・標準施工手順書の整備
・安全チェックリストの運用
・危険予知活動の実施
・教育履歴の記録
・定期的な見直し
安全管理は属人的に行うと、担当者が変わった瞬間に崩れます。特に新規事業では、経験が浅い分野ほど事故リスクは上がります。
だからこそ、立ち上げ段階からマニュアルを前提に設計することが重要です。
安全を「経験」でカバーするのではなく、「標準化」で担保する。この考え方が、法改正後の経営ではより重要になります。
マニュアル化を前提にするなら、フランチャイズという選択肢が現実的
安全管理を自社構築するには?
安全管理をゼロから自社構築するのが難しい場合、マニュアル化されたフランチャイズモデルは合理的な選択肢です。
新規事業を立ち上げる際、多くの企業が直面するのは「何から整備すべきか分からない」という問題です。施工手順、見積基準、教育内容、安全管理体制。すべてを自社で設計するには時間と検証が必要です。
特に安全管理は後回しになりやすい分野です。しかし、労働安全衛生法が求めるのは「体制の整備」です。形式的な資料ではなく、実際に運用される仕組みが必要です。
フランチャイズとは、本部が確立した事業モデルを加盟店が活用する仕組みです。施工基準、業務フロー、研修制度、マニュアルが体系化されている点が特徴です。
安全面で見ると、次のようなメリットがあります。
・標準施工マニュアルが整備されている
・安全チェック項目が明文化されている
・研修で基本動作を統一できる
・施工品質と安全基準が共通化される
安全管理を事業構造の中に組み込めるという点が重要です。
住宅内中心の改修分野である介護リフォームは、作業特性が比較的安定しています。手すり設置や段差解消など、工事内容が一定の範囲に収まります。そのため、施工手順と安全対策を標準化しやすい分野です。
開業前研修では基本的な手すりの取付工事の施工手順の指導を行いますので、注意すべきポイントも身に付きます。
自社で安全管理を一から設計する方法もあります。しかし、法改正や安全管理強化の流れを踏まえると、既に体系化されたモデルを活用する方が効率的ではないでしょうか。
まとめ
建設業の労働災害は依然として高水準です。さらに、2026年4月からは「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)」に基づく改正が段階的に施行され、安全管理体制の整備はこれまで以上に重視されます。
重要なのは、事故を起こさないことだけではありません。
事故を防ぐ「体制」を持っているかどうかが問われます。
既存事業を守りながら、新規事業でリスク構造を分散する。
そのうえで、安全管理を最初からマニュアル化する。
この設計が、これからの建設業経営の安定につながります。
介護リフォーム本舗は、高齢者の自宅での手すり取付などを中心とした「介護リフォーム」に特化したフランチャイズです。
労働災害リスクの低い事業であり、なおかつフランチャイズとしてのノウハウを持ち、基本的な業務もマニュアル化されています。累計16万件の工事実績がから得たノウハウ・経験が最大の安全対策になります。
労働災害・事故の発生、そしてそれに対する安全管理を怠っていたとなると企業としては大きなマイナス評価を受けます。そういった懸念を解消しつつスタートできる新事業。介護リフォームは将来性豊かな高齢化社会をターゲットにしつつ、地域貢献としての価値の高いビジネスです。
ぜひ興味のある方は気軽にお問い合わせください。








