福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障がい者の住環境を整えるための知識を体系的に学べる資格として知られています。
医療や介護の分野だけでなく、住宅や建築に関わる人が取得するケースも多く、リフォーム・建設業界で名前を聞いたことがある人も少なくないはずです。
一方で、
「福祉住環境コーディネーターは役に立たない」
といった声を聞くことも少なくありませんし、ネット上でもそういった意見を目にします。
実際、建築業界の中でも
「資格は取ったけれど、仕事ではほとんど使っていない」
「評価された記憶がない」
と感じている人は一定数います。
では、この資格は本当に“建築の仕事では意味がない資格”なのでしょうか。
まずは、感情論をいったん横に置き、客観的な事実と立ち位置から整理してみます。
福祉住環境コーディネーター2級と建築業界の関係
建築業界で取得する人も実は多い
福祉住環境コーディネーター2級の受験者構成を見ると、
医療・介護分野が多いのは紛れもない事実ですが、建設業に従事する人も全体の約14%を占めています。

※参照:東京商工会議所「福祉住環境コーディネーター受験者データ」
福祉系の資格でありながら、
約7人に1人が建設業関係者という数字は、決して小さくありません。
このことから分かるのは、
福祉住環境コーディネーターが「建築とは無関係な資格」ではなく、
建築業界側からも一定の関心と期待を持たれてきた資格だという点です。

※参照:いえケア「福祉住環境コーディネーター資格、いきなり2級で合格できる?難易度・独学勉強法と合格体験談」
会社の方針で資格取得を勧められたケースも多い
特にここ10数年、
高齢化社会への対応やバリアフリー需要を見据えて、
・社員教育の一環として
・将来の事業展開を見据えて
福祉住環境コーディネーターの取得を奨励した建築・リフォーム会社も少なくありません。
実際に、
「会社から言われて取った」
「将来役に立つと言われた」
という経緯で資格を取得した人も多いはずです。
福祉住環境コーディネーターの公式ホームページでは、合格者の声として建築業の方の声も多く記載されています。一例を掲載します。
N・Kさん
建設業
30代会社指定の資格である為、取得すると給与が上がること、個人的に「様々な人が暮らしやすい環境作り」に興味があったこと、社会人になり勉強して新しい知識を得ることがなかなかなく、資格取得勉強でその欲求を満たしたかったことから受験しました。
資格の立ち位置は「評価される資格」ではない
一方で、建築業界の資格評価の軸を見ると、
福祉住環境コーディネーターは少し異なる立場に置かれています。
建築業界で評価されやすいのは、
・国家資格であること
・業務独占や法的根拠があること
・キャリアや等級、報酬に反映されること
といった条件を満たす資格です。
福祉住環境コーディネーターは民間資格であり、
施工や設計における独占業務があるわけでもありません。
また、建設キャリアアップシステム(CCUS)においても、
資格として直接評価される対象には含まれていません。
つまり、
取得者は多いが、評価制度の中では目立たない資格
という立ち位置にあります。
建設業界における資格の立ち位置
ここまでを整理すると、次のような事実が見えてきます。
・建築業界で取得する人は実際に多い
・将来性を見据えて会社が取得を奨励したケースもある
・しかし、業界の評価制度やキャリアには反映されにくい
「これからの社会に必要な資格や知識」という認識はあるものの、実際資格を生かす場面やキャリアにつながりにくいという現実があります。
建築業界で福祉住環境コーディネーターが「役に立たない」と感じてしまう理由
勉強内容は面白い。でも、仕事では使う場面がない
福祉住環境コーディネーターを取得した建築業界の人の多くが、口をそろえて言うのが
「勉強自体は、おもしろかった」
という感想です。
高齢者の身体機能の変化や、転倒リスク、介護動線の考え方などは、
これまでの建築やリフォームの仕事とは違う視点を与えてくれます。
・手すりの適切な位置はどう決めるのか
・なぜ段差が危険になるのか
・なぜ今は問題なくても、将来を見据える必要があるのか
理屈として理解できるし、納得感もある。
しかし問題は、そのあとです。
日常の業務に戻ると、
これらの知識を使うことを求められる場面が、ほとんどない。
通常のリフォーム業務では、
・施主の要望通りに工事をする
・決められた予算と工期の中で施工する
ことが優先され、
個別的・福祉的な視点で住環境全体を考える役割は与えられていません。
結果として、
「資格はあるけれど、使えない」
という状態が生まれます。
資格が評価にも、キャリアにも反映されない
もう一つ大きいのが、評価の問題です。
建築業界では、
・国家資格
・技能資格
・施工経験
が評価されます。
一方、福祉住環境コーディネーターは、東京商工会議所が認定を行う民間資格。
資格を持っていても現場での役割が変わるわけではなく、
昇給や配置転換、評価制度に直結するケースも多くありません。
さらに、CCUSでも評価対象にならないため、
「頑張って取った資格が、履歴としても残らない」
という感覚を持つ人もいます。
この状況が続くと、
どうしても次のような考えに行き着きます。
「結局、この資格を持っていても何も変わらなかった」
「評価されないなら、役に立たない資格なのではないか」
建築の仕事は、介護・福祉の知識や資格がなくても回ってしまう
現場目線で見ると、さらに現実的な問題があります。
福祉住環境コーディネーターで学ぶ代表的な内容である、
・手すり設置
・段差解消
・引き戸への変更
これらは、建築やリフォームの経験があれば、
資格がなくても対応できてしまう工事です。
そのため現場では、
「今まで通りやっていれば問題ない」
「特別に資格が必要なわけではない」
「マニュアル通りにやればいい」
という空気が生まれやすくなります。
資格を持っていても、
持っていなくても、
仕事のやり方が変わらない。
この状況が、
「資格の存在感の薄さ」
につながっています。
「役に立たない」という言葉の裏にある本音
ここで大事なのは、
建築業界の人が必ずしも
福祉住環境コーディネーターそのものを否定しているわけではない、
という点です。
むしろ本音は、
・内容は理解できる
・必要な知識だと思う
・高齢化社会を考えると無意味だとは思えない
それでも、
・使う場がない
・評価されない
・仕事の中で求められない
このような状況下で、結果として
「役に立たない資格だった」
という言葉が出てきます。
正確に言えば、
役に立たないのではなく、
活かせる場所が用意されていない
これが、多くの建築業界の人が抱えているジレンマです。
知識を持ってしまったからこその違和感
そして、この資格を取った人ほど、
ある種の違和感を抱えやすくなります。
・本当は、もっと考えるべきことがあるのではないか
・マニュアル通りに施工したが、この方の場合、本当に安全なのだろうか
・将来を見据えるなら、別のやり方があるのではないか
そう感じてしまう一方で、仕事の流れは変えられない。
結果として、「分かっているのに、何もできない」という状態に陥ります。
この違和感こそが、「では、この知識をどこで活かせばいいのか」
という問いにつながっていきます。
福祉住環境コーディネーターが活きる場所とは
資格が専門性として求められる仕事がある
福祉住環境コーディネーターで学ぶ知識は、
一般的なリフォームの現場では「あると良い知識」にとどまりがちです。
しかし一方で、
その知識が専門性として求められる仕事も、確かに存在します。
それが、介護リフォームや高齢者の住環境整備を前提とした仕事です。
この分野では、
・なぜこの工事が必要なのか
・利用者の身体状況はどうか
・家族や介護職の関わりはどうか
・将来、状態が変わったときにどうなるか
といった説明や調整が欠かせません。
単に「工事ができる」だけでは足りず、
背景を理解し、言語化し、説明できる人が必要とされます。
ここで初めて、
福祉住環境コーディネーターで学んだ知識が
そのまま仕事の価値になります。
一般リフォームと介護リフォームの決定的な違い
経営者の立場で考えると、
ここにははっきりした違いがあります。
一般的なリフォームは、
・価格競争になりやすい
・相見積もりが前提
・工事内容での差別化が難しい
という特徴があります。
一方、介護リフォームでは、
・なぜこの工事が必要なのかという説明力
・専門性への信頼
・ケアマネジャーや家族との関係性
といった要素が重視されます。
つまり、
価格だけで比較されにくい構造があります。
これは、
「技術力はあるが、価格競争に疲れている」
という建築会社にとって、無視できないポイントです。
建築業の経験があるからこそ立てるポジション
介護リフォームの世界では、
・福祉の知識はあるが、施工が分からない人
・制度には詳しいが、現場を知らない人
も少なくありません。
その中で、
・建築の現場が分かる
・施工の現実を理解している
・そのうえで福祉の視点を持っている
人材は、実は貴重な存在です。
福祉住環境コーディネーターを取得した建築業の人は、
すでにその入口に立っています。
「施工できる人」から
「住環境全体を考えられる人」へ。
これは、
個人のキャリアとしても、
会社の事業戦略としても、
方向性を変えるきっかけになり得ます。
経営者視点で見る「資格が評価されない」問題の捉え方
ここで、あらためて経営者の立場に立って考えてみます。
福祉住環境コーディネーターは、
・CCUSで評価されない
・国家資格ではない
・直接的に入札要件にもならない
確かに、
従来の建築業界の評価軸では、
分かりやすい武器ではありません。
しかし視点を変えると、
・これから需要が増える分野に対応できる
・他社が簡単に真似できない専門性になる
・社員の知識がそのまま提案力・信頼につながる
という側面も見えてきます。
評価制度に乗らないからといって、
事業としての価値がないとは限らない。
国の評価が高くてもそれが集客や実績・収入につながらなければ意味がない。
むしろ、この分野に先に取り組んだ会社がポジションを築ける可能性もあります。
福祉住環境コーディネーターを「役に立たない資格」で終わらせないために
福祉住環境コーディネーターは、
取っただけでは、確かに何も変わりません。
今の仕事の枠組みのままでは、
役に立たないと感じるのも自然です。
しかし、
・仕事のフィールドを変える
・扱う顧客を変える
・提供する価値を変える
ことで、
この資格の意味は大きく変わります。
それは、
資格の価値を無理に高く見せることでも、
建築業界のやり方を否定することでもありません。
資格を活かせる場所に、事業のフィールドを広げるという選択です。
福祉住環境コーディネーターを生かす、介護リフォームという働き方
この資格を「事業につなげる」ことで、個人としても会社としても大きな成長が期待できます。
個人としては、 提案力の向上・課題解決能力の向上・顧客ニーズの深い理解 などにつながります。
会社としては、 高齢化社会というマーケットへの参入・地域の介護福祉医療との深い関係構築・価格競争にならず専門性が評価される新規事業確立・従業員のやりがい創出・企業の信頼性やイメージの向上 につながります。
資格を持っているからといって、すぐに事業を形にできるかというと、そこには介護業界独特のハードル・参入障壁もあります。
そこを突破し、スピード感を持って事業を黒字化するために、フランチャイズを活用することもひとつの突破口です。
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