
リフォーム業を経営していると、クレーム対応は避けて通れない課題です。工事の仕上がりに対する不満、説明不足による誤解、追加費用をめぐるトラブル——そのひとつひとつが、会社の信頼を左右します。
多くの経営者が、「またクレームか…」と頭を抱えるかもしれません。ですが、クレームの中には、業務の見直しポイントや、会社を強くするヒントが数多く隠れています。
本記事では、住宅リフォームにおける代表的なクレーム事例とその傾向を、公的統計データに基づいて分析。さらに、トラブルの少ない事業モデルとして注目される「介護リフォーム」への展開についてもご紹介します。
クレーム対応を「守り」ではなく、「攻め」の経営に変える視点。これからの時代に、リフォーム業を持続可能な事業にしていくためのヒントをお届けします。
よくあるリフォームクレームとその背景
リフォーム業において、施工後のクレームや相談は常に付きまとう課題です。2024年度には、住宅リフォーム・紛争処理支援センターに寄せられた電話相談が3万件を超え、そのうち約7割にあたる2万件以上が「トラブルに関する相談」でした。

※公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025(本編) 相談内容の傾向 トラブルに関する相談件数」
中でも、リフォームに関する相談は7,667件を数え、特に戸建てや集合住宅の施工における不具合が目立ちます。
戸建て住宅では、外壁や屋根の「はがれ」「雨漏り」「性能不足」などが多く、仕上がりへの不満が上位に挙がっています。共同住宅では「変形」「汚れ」「漏水」といった、内装や設備に関する問題が目立ちます。いずれも、工事の技術的な問題にとどまらず、事前の説明不足や確認不足によって、施主との間にズレが生じた結果といえます。


※公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025(本編) 住宅形式別の不具合事象と主な不具合部位」
実際、現場でよく見られるのは、こういったケースです。
- 思っていた色や仕上がりと違う
- 工事前に説明されていなかった項目で追加費用が発生した
- 不具合を申し出たが、対応が遅れた
- 見積もり内容が不明瞭で、どこまでが工事対象か曖昧だった
技術的なトラブルは一定数避けられないとしても、それ以上に問題になるのが「説明」や「対応」の不備です。つまり、クレームの本質は、工事そのものよりも、コミュニケーションの質にあることが少なくありません。
このような傾向を見ても、単に現場の職人の腕を上げるだけでは、クレームは減らないということが分かります。経営の視点から「伝え方」や「プロセスの透明化」をどう改善していくかが、今後ますます重要になってきます。
クレームを経営改善のチャンスに変える方法

クレームが発生したとき、多くの会社では「どう収めるか」という視点に意識が向きがちです。しかし、そこでの対応次第で、お客様との関係が断たれるか、それとももう一度信頼してもらえるかが決まります。
特にリフォーム業では、「説明が足りなかった」「伝えたつもりだったが伝わっていなかった」というケースが少なくありません。そんなときこそ、誠意をもって説明し直し、自社の考えや工事の意図を丁寧に伝えることで、相手の理解を得られることがあります。
たとえば、
- 「こちらの説明不足がありました」と率直に認める
- 双方の意図にギャップがあったのであれば、なぜそれが生まれたのかを客観的に見つめ、共有する
- どのように改善するか、社内での対応体制を伝える
- 二度と同じことが起きないよう、対策を共有していることを伝える
こちらの想いや主張、課題などを伝えることで、お客様の受け取り方が大きく変わることがあります。
実際、「最初は腹が立ったけど、ちゃんと対応してくれたから、結果的には良かった」と評価してもらえた経験を持つ会社も多いはずです。
こうした姿勢は、思いがけない形で返ってくることもあります。
- 数年後に別のリフォームの相談が来た
- 紹介で新しいお客様が訪れた
- 「丁寧に対応してくれる会社」として口コミで広がった
クレームは売り上げに直結するものではありませんが、「誠実な対応が信頼を生み、それが次の仕事につながる」ことは十分にあります。
また、社内でクレームを共有し、改善策を講じることで、同じようなトラブルを未然に防ぐこともできます。具体的には、
- クレーム事例を分類し、原因ごとの対応マニュアルを整備する
- よくある誤解ポイントを営業や現場で事前に説明する
- アフター対応の基準を社内で統一し、スピードと質を保つ
といった取り組みが、クレームを減らし、結果的に顧客満足度を高めることにもつながります。
クレームは、避けるべきものではなく、会社を成長させるための貴重なフィードバックです。その一つひとつに向き合うことが、強い組織をつくり、結果として継続的な受注にもつながっていきます。
クレームの少ない事業モデル?介護リフォームが注目される理由
リフォーム業において、クレームをゼロにすることは現実的ではありません。しかし、事業の特性によっては、クレームが起きにくい構造を持っている分野も存在します。介護リフォームは、その代表的な一つです。
介護リフォームは、単なるバリアフリー工事ではありません。対象となるのは、高齢者本人とそのご家族、ケアマネジャー、時には医療職や自治体の窓口など、複数の関係者が関わる工事です。このため、工事を実施するまでに丁寧な打ち合わせや説明の機会が自然と組み込まれています。
たとえば、以下のような流れが一般的です。
- ケアマネジャーが住宅改修の必要性を判断し、リフォーム業者に相談
- 利用者や家族との打ち合わせで、生活の困りごとを確認
- 手すりや段差解消などの工事提案とあわせて、介護保険制度の説明
- 工事前に、図面や施工内容、申請の流れを共有
- 施工後には、行政への報告書類提出や確認立ち合い

このプロセスには、「時間をかけて説明する」「他職種と連携する」「制度に則って進める」という前提があります。つまり、多くのプロセスを専門職や行政とともに確認をしていくため、その過程で齟齬が生じにくい仕組みになっているのです。もちろん、介護保険制度で対応できないことや、工事に伴うデメリットやリスクが発生するようであれば丁寧に説明を行います。
そのため、完成後に「思っていたものと違う」「説明されていない」といったトラブルが起こりにくくなっています。
さらに、介護リフォームにはもう一つ大きな特徴があります。
それは、お客様から「感謝される」ことが非常に多いという点です。
例えば、「これで一人でトイレに行けるようになった」「安心してお風呂に入れるようになった」など、生活の質が改善された実感がダイレクトに伝わる工事が多く、満足度が高い傾向にあります。
お客様本人だけでなく、ご家族やケアマネから感謝の言葉をいただくことも多く、現場スタッフのやりがいにもつながります。
一般リフォームに比べると、「価格」や「見た目」よりも、「使いやすさ」「安全性」「制度に沿った正確な対応」が重視されるため、過度な値引き交渉や無理な要望も比較的少ない傾向にあります。
つまり、介護リフォームは
- クレームにつながりにくい構造がある
- お客様との信頼関係が築きやすい
- 施工者側の満足度ややりがいも高い
という、経営的にも働く人にもプラスの循環が生まれやすい事業です。
信頼を築く次の一手としての介護リフォーム事業
リフォーム業を続ける中で、常に付きまとうのが価格競争と信頼維持の難しさです。特に一般リフォーム市場では、見積もりのたたき合いや仕様の細かい要望に対応する中で、利益率が圧迫されることも少なくありません。顧客との信頼関係を築きにくく、クレームの発生リスクも常に背中合わせです。
一方で、介護リフォームは全く異なる価値軸で動く市場です。そこでは、「いかに生活を安全・快適にするか」「制度を理解して正しく進められるか」といった専門性と信頼性が何よりも重視されます。
これまでのような価格で選ばれるビジネスではなく、人で選ばれるビジネス。それが介護リフォームです。
介護リフォームのメリットは、単なる工事内容にとどまりません
- 安定したニーズ
高齢化が進む中で、在宅生活を前提とした住環境整備の需要は増え続けています。介護保険制度によって工事費のうち7~9割がカバーされるため、お客様側の負担も軽く、受注のハードルが下がります。 - 紹介につながりやすい
施工に満足したご家族やケアマネジャーから、別の利用者を紹介されるケースも珍しくありません。広告費をかけずに案件が増える、理想的な循環が生まれます。 - 社員の定着にもプラス
現場で「ありがとう」と言ってもらえる仕事が増えると、施工スタッフや営業担当のやりがいにも直結します。職人の離職率が下がったという声も多く聞かれます。
介護リフォームは、「社会貢献」と「ビジネス」を両立できる数少ない分野です。
事業の多角化を考えているリフォーム会社にとって、次の柱となる可能性を秘めています。
これまでクレーム対応に追われていた時間や労力を、信頼と紹介を生む仕事に変える。
それが、経営を守り、成長させる一手になるかもしれません。
クレームから学び、信頼と感謝のビジネスへ
リフォーム業においてクレームは避けられないもの――そう考えている方は多いかもしれません。しかし、向き合い方次第で、クレームは「信頼を築き直すチャンス」にもなります。
説明不足や行き違いに気づき、改善に踏み出せば、業務の質は確実に上がっていきます。現場や営業の対応力が高まれば、同じトラブルを繰り返すことも減り、結果的に会社全体の信頼性も上がります。
そして、クレームが少ない分野として注目されているのが「介護リフォーム」です。
介護リフォームは、制度説明や多職種との連携が前提となっているため、丁寧な対話が自然と求められます。そのプロセスが、クレームの起きにくい仕事の進め方を形づくります。
さらに、高齢者やそのご家族の生活を支えるという使命感と、施工後に感謝の言葉をいただけるやりがいもある、価値の高い仕事です。
今、価格競争に疲れている、信頼を大切にした仕事がしたい、社員のモチベーションを上げたい――そんな思いを抱えるリフォーム経営者にとって、介護リフォームは、次の一歩としてふさわしい選択肢です。
📩 資料請求・相談はこちら
もし、介護リフォーム事業に興味をお持ちでしたら、「介護リフォーム本舗」のフランチャイズ資料をご覧ください。
制度の基礎知識から営業支援・施工ノウハウまで、未経験からでも始められる仕組みをご案内しています。








