「このまま、ずっと下請けでやっていくのか…?」
そんな問いが、ふと頭に浮かぶことがありませんか。職人として20年、30年と現場をこなしてきたあなたには、技術も経験も、誰にも負けない自負があるはずです。けれど一方で、年々体力に限界を感じたり、元請けの顔色をうかがいながら仕事を選べない状況に、どこかモヤモヤしている──。そんな思いを抱えながら、毎日を過ごしている方も少なくないのではないでしょうか。
職人という仕事は、体が資本。若い頃は無理がきいたとしても、年齢とともに「今のままではいずれ立ち行かなくなる」という不安が現実味を帯びてきます。特に、40代・50代ともなれば、家族を支える責任もあり、仕事のあり方そのものを見直すタイミングでもあります。そんな時、自然と頭をよぎるのが「独立」という選択肢です。
「今の仕事のままでいいのか」「もっと自由に働けないのか」「自分の名前で勝負してみたい」──そう感じることは、決して特別なことではありません。むしろ、職人として一人前になったからこそ、自然と生まれる“次のステージ”への欲求なのだと思います。
ですが、そう思っても実際に独立に踏み出せる人は、ほんの一握りです。それは、独立には希望と同じくらい「不安」がつきまとうから。現場で手を動かすことには自信があっても、いざ独立となると、「営業ってどうやるの?」「仕事が取れなかったらどうする?」「お金は?税金は?事務は?」といった現実的な課題が、次々と目の前に現れてきます。
この記事では、そんな不安を抱えながらも「一歩を踏み出したい」と考えている職人の方に向けて、独立を阻む5つの壁と、それをどう乗り越えていくかについて、具体的かつ現実的な視点でお伝えしていきます。
「自分に独立なんて無理かもしれない」と感じているあなたにこそ、ぜひ最後まで読んでいただきたいと思います。
職人が独立するには、まず直面する「5つの壁」
独立を考えるとき、まず最初に立ちはだかるのが、現実的な「壁」の存在です。夢や理想だけでは食べていけない。それは、誰よりも現場で汗を流してきたあなたが、一番よくわかっているはずです。
ここでは、多くの職人が独立を前にして直面する「5つの壁」について、ひとつひとつ丁寧に掘り下げていきましょう。

壁1:営業と集客の壁
まず最初に、ほぼ全員が突き当たるのが「営業ってどうするの?」という問題です。現場での腕には自信があっても、それをどう売り込むかとなると話は別です。元請けや会社の看板があったからこそ仕事がもらえていた、ということに改めて気づかされるのが、このタイミングです。
特に個人での独立となると、まずは自分でお客様を探すところから始まります。ところが、これが想像以上に難しい。「どうやって見つければいい?」「どう話しかければいい?」「見積もりってどう書くの?」──頭の中が疑問だらけになります。
ホームページを作ろうにも知識がない、チラシを撒こうにもどんなデザインが効果的かわからない。SNSも何から始めればいいのか見当がつかない。結局、知人や元の職場のツテに頼って細々と始めるものの、すぐに頭打ちになってしまう。これは、多くの独立初期にありがちなパターンです。
さらに問題なのは、営業がうまくいかないと仕事がない=収入がゼロという現実です。これまでは「与えられる仕事」をこなせばよかったのが、「仕事を取ってくる」ことまで自分で担う必要がある。ここで「営業スキルがない自分には無理かもしれない」と気持ちが折れてしまう人も少なくありません。
壁2:収入の不安定さと生活リスク
次に待ち受けるのが、「本当に食べていけるのか?」という根源的な不安です。独立すれば、自分が休めば収入はゼロ。営業に失敗すれば収入もゼロ。工事が続けば収入が増えるが、悪天候やトラブルで工期がずれれば現金も止まります。
とくに家庭を持つ職人にとって、生活を支えるという責任は大きな重圧です。子どもの教育費や住宅ローン、車の維持費など、毎月確実に出ていく支出に対して、収入が読めないというのは、精神的にもかなりきつい状況です。
また、景気の波や地域の競合状況によって、繁忙期と閑散期の差が大きいという点も見逃せません。「前月は月収50万円だったのに、今月は10万円もいかない」などというケースも現実にあります。こうした変動に耐えられるだけの貯蓄や覚悟がなければ、独立してもすぐに行き詰まってしまうのです。
壁3:資金・初期投資の壁
独立にあたっては、当然ながらいくらかの初期投資が必要になります。トラックやバン、道具一式、チラシ・広告費、名刺や制服、場合によっては事務所や倉庫など、ざっと見積もっても数十万円から数百万円かかることもあります。
もちろん、仕事を受ければ材料費も一時的に立て替える必要があり、最初から資金繰りに悩まされるケースもあります。「やってみたいけど、資金がないから無理だ」と独立を諦める職人も実際に多いです。
また、銀行からの融資を受けるにしても、職人は給与明細があるわけではなく、独立後の収入も予測が立てにくいため、審査が通りづらいという現実があります。「借りたはいいが、返せなかったら…」という不安も当然あるでしょう。
壁4:経理・事務作業の負担
意外と多くの職人が苦しむのが、「現場以外の仕事」に対する準備や知識のなさです。見積書・請求書の作成から、帳簿の管理、確定申告、場合によっては雇用関係の手続きなど、これまで会社がやってくれていた業務を、自分ひとりでこなさなければならなくなります。
これがまた非常に手間で、しかも間違えると税務署から指摘を受けたり、得意先との信頼関係を損なったりする可能性があります。慣れないうちは毎月の書類作成に追われ、夜な夜なパソコンと格闘する日々が続くことも。
「事務作業に時間を取られて、本業の工事に集中できない」というのは、独立初期によくある悩みのひとつです。誰かに任せたくても人を雇う余裕はなく、結局すべて自分で背負うしかない。こうした“見えない業務”の多さが、じわじわと独立のしんどさを増していくのです。
壁5:孤独と責任のプレッシャー
最後の壁は、精神面の問題です。独立とは、言い換えれば「すべての責任を一人で負うこと」でもあります。これまでは何かトラブルがあっても会社や上司が間に入ってくれたものが、これからはすべて自分の責任となります。
クレームが出れば、自分で謝罪し、対応し、再工事までやらなければなりません。支払いが遅れたら、催促も自分。悪質な顧客に出会えば泣き寝入りするしかない場合もあります。
また、仕事に悩んでも相談できる上司や同僚はいません。孤独感やストレスが積もり、心が折れてしまうケースも少なくありません。
「独立は自由だ」とよく言いますが、その自由の裏には、誰にも頼れないという孤独と、不確実性への耐性が必要だということを忘れてはいけません。
以上の5つの壁は、独立を考えるすべての職人が、多かれ少なかれぶつかる現実です。「技術があればなんとかなる」と思っていたのに、それだけでは通用しない。そこで初めて、独立には「経営の知識」や「仕組み」が必要だと痛感するのです。
次のセクションでは、そんな現実を踏まえたうえで、それでもなぜ多くの職人が「独立」に魅力を感じるのか。そこにどんな希望や可能性があるのかを掘り下げていきます。
それでも「独立」が魅力的な理由
これまで見てきた通り、職人が独立するというのは、決して簡単なことではありません。営業や集客のノウハウがなければ仕事を確保することは難しく、収入も不安定になりがち。初期費用や事務処理の負担、孤独と責任の重さといった要素も、確実にのしかかってきます。
それでもなお、多くの職人が独立に憧れ、いつかは自分の看板で勝負したいと願うのはなぜなのか。それには、独立にしか得られない魅力と手応えがあるからです。ここでは、そうした“独立のポジティブな側面”を、現場のリアルに即して見ていきたいと思います。

「頑張った分だけ収入になる」という実感
独立に最も惹かれる理由の一つは、自分の頑張りがダイレクトに収入につながるという手応えです。
会社員や下請けの立場であれば、どれだけ現場で汗を流しても、月給は一定、工賃は決まっている。時には「こんなに働いたのに、これだけ?」と感じることもあるかもしれません。利益はすべて元請けに吸い上げられ、実際に現場で作業している自分には、ほんの一部しか回ってこない。そうした理不尽さや閉塞感を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし独立すれば、工事の利益はすべて自分のものです。もちろん経費や材料費は差し引かれますが、見積もりから工事、納品、アフターまで一貫して自分が担えば、その分すべてが収入につながる。単純な作業量だけではなく、「どの案件を選ぶか」「どう提案するか」など、自分の工夫や戦略によって、利益の幅も大きく変わってきます。
だからこそ、「稼げる人はどんどん稼げる」──これが、独立の大きな魅力の一つなのです。
月50万円だった収入が、月80万、100万円に届く。努力が数字として返ってくるというのは、大きなモチベーションになりますし、何より職人としての“実力勝負”の世界で真価を発揮できるという満足感があります。
「自分で選べる自由」がある
独立すれば、仕事の内容・お客様・スケジュールのすべてを、自分で決めることができます。
これは、実はものすごく大きなことです。今までは元請けの指示で行きたくない現場に行き、やりたくない工法で工事をし、納期に追われて夜遅くまで残業…といった経験もあったかもしれません。でも独立すれば、やる・やらないの判断を、自分で下せるのです。
付き合う取引先を選ぶことができる。無理な価格の案件を断ることができる。自分の得意な分野、好きな客層、地元の顧客など、自分のスタイルに合った方向に、仕事を育てていくことができる。これは雇われていては絶対に得られない、「裁量権」という価値です。
また、家族との時間を大事にしたい、体力的に週3〜4日だけ働きたいといったライフスタイルの調整も可能になります。年齢を重ねるにつれ、「身体を壊してまで働き続けたくない」という思いが強くなる方も増えてきます。そんなとき、働き方を自分で決められるというのは、本当にありがたいことです。
自由には責任も伴いますが、選ぶ力=生き方をコントロールする力です。これこそが、独立の持つ大きな意味のひとつなのです。
「お客さまから直接感謝される」仕事になる
独立すれば、エンドユーザー──つまり実際に工事を依頼してくれたお客様と直接やり取りする機会が格段に増えます。これは、職人にとって非常にやりがいを感じやすいポイントです。
元請けの下で仕事をしていると、完成しても「お客様の顔が見えない」「誰が感謝してくれているのかわからない」というケースがほとんどです。現場では一生懸命やっているのに、評価されるのは元請けの営業マン。こうした“間接的な仕事”に、少し物足りなさを感じていた方もいるでしょう。
ところが独立すれば、見積もりから工事、引き渡しまでを一貫して自分が担当するようになります。つまり、お客様と最初から最後まで関われるということです。
「ありがとう」「あなたに頼んでよかった」という言葉を、直接もらえる。これは、職人としての誇りとやりがいを改めて感じられる瞬間です。自分の手で形にしたものが、目の前のお客様の生活を変える。これ以上に満たされる仕事が、他にあるでしょうか。
「将来を自分で切り拓く」という実感
独立には不安も多いけれど、それでも選ぶ価値があるのは、「未来の可能性が広がる」からです。
今のまま会社や元請けに頼って仕事をしていても、数年後に状況が良くなっている保証はありません。むしろ、価格競争や体力的な限界、そして年齢的な壁にぶつかって、選択肢が減っていく可能性の方が高いかもしれません。
ですが、独立すれば、道を切り拓くのは自分次第です。たとえば最初は一人親方として始めたとしても、うまくいけば人を雇い、会社として成長させることもできる。地域で認知される施工店として、将来子どもに引き継ぐようなビジネスに育てていくことも夢ではありません。
そうした“可能性の扉”が開くのが、独立の大きな意義です。たとえ今は不安が多くても、一歩踏み出すことで見える景色が必ず変わってきます。変化を恐れて立ち止まるよりも、動いてみることで手に入るものの方が、ずっと多いはずです。
このように、独立は「怖いこと」ではありますが、それ以上に大きな魅力と人生を変えるチャンスを秘めています。
次のセクションでは、実際にその独立の行き先としてどんな分野を選ぶべきか、将来性のある市場とは何かを、今の社会情勢とともに考えていきます。
職人が独立を成功させるには「戦略」が必要
「技術があれば食っていける」
それは、かつての職人の世界ではある程度、通用した価値観だったのかもしれません。黙って現場に立ち、丁寧に仕上げれば、次の仕事も自然と舞い込んできた。地域の工務店や元請けとの関係さえ良好ならば、生活に困ることも少なかった。
しかし時代は大きく変わりました。
今は、どれだけ腕が立っても、それだけで仕事が続くとは限りません。価格競争の激化、オンライン化する顧客接点、情報の可視化、そして高齢化や人手不足など、職人を取り巻く環境は以前よりもはるかに複雑になっています。
だからこそ、独立して成功したいのであれば、技術だけでなく「戦略」が必要です。これは、営業やマーケティングの知識を身につけろという話ではありません。自分の強みをどこで活かすか、どの市場で勝負するか、どんな働き方を目指すのか──方向性を定めた上で、勝ち筋を見極めるという視点が欠かせないということです。
「何でもやる」は、今の時代には通用しない
独立直後の職人がよく口にする言葉の一つに、「仕事は何でもやります」があります。リフォーム、水回り、塗装、設備、外構…どんな依頼にも対応しますというスタンスは、一見すると柔軟で、顧客にも重宝されそうに思えるかもしれません。
しかし、これは実はかなり危うい姿勢です。
今の時代、顧客は「その道の専門家」を求めています。例えばトイレのリフォームを検討している人が、検索で「トイレ専門リフォーム」「バリアフリー トイレ 改修」などと調べたとき、なんでも屋よりも「トイレ専門でやってます」「高齢者向けの施工実績があります」という施工店の方に安心感を覚えるのが自然です。
また、何でもやるということは、裏を返せば「何かに特化していない」ということにもなります。見積りも施工方法も都度試行錯誤となり、効率も利益率も上がりにくくなります。技術のある人ほど「こなせる」ことに甘えてしまいがちですが、結果として自分の強みをぼやけさせ、時間と労力ばかりがかかってしまうのです。
独立後にやるべきなのは、「なんでもやる」ではなく「どこで勝負するかを決める」ことです。限られた時間と体力、資金を、最大限に活かすためには、得意分野・需要のある分野に的を絞って“深掘り”していく必要があります。
「自分の強み」と「社会のニーズ」を重ね合わせる
では、どこで勝負すべきか。これは単に「好きなことをやれ」という話ではありません。
独立で成功している職人の多くは、自分のスキルと経験、地域性や市場ニーズを冷静に照らし合わせて、「需要があって、競争が緩く、自分の得意が活きる分野」を選んでいます。
例えば、以下のような視点がヒントになります:
- 地元で増えている住宅のタイプや年齢層は?
- 他社があまり手を出していないニッチな分野は?
- 自分の施工実績の中で、特に喜ばれた工事は何か?
- 将来的にも継続して需要が伸びる分野は?
ここで重要なのは、「これからの社会が何を求めていくのか」という視点です。例えば、少子化が進む一方で高齢者は年々増加し、国をあげて“自宅での介護”や“住み慣れた家で暮らす”ことを推進している。こうした流れを踏まえれば、単なる内装リフォームよりも、高齢者の生活支援につながる施工のニーズが今後高まっていくことは想像に難くありません。
また、地球全体規模の気候変動などから、外気の影響を受けにくい住宅なども大きな注目を集めています。エコ住宅や断熱などには補助金のメニューも多く、追い風に乗っていることがわかります。
自分がやりたいことも大事ですが、社会に必要とされていることが大きな価値を生むのです。
自分一人で全部やろうとしない
戦略を立てる上で、もう一つ大切な視点があります。それは、「全部一人でやる」ことにこだわりすぎないことです。
独立というと、「全部自分でやってこそ」という気概を持つ人も多いですし、その誇りは尊重されるべきものです。ただ、現実問題として、営業・集客・施工・事務・経営…これらすべてを一人でこなすのは、並大抵のことではありません。中には、すべてを完璧にこなすスーパー職人もいるかもしれませんが、大多数の人にとっては無理があります。
むしろ、自分の得意なことに集中し、それ以外は“仕組み”や“他人の力”を借りることこそが、安定した独立経営には欠かせない考え方です。
たとえば、集客や営業が苦手であれば、信頼できる窓口や紹介ネットワークとつながる。事務処理が苦手であれば、クラウド会計やアプリを導入する。施工の幅を広げたいなら、信頼できる協力業者やOB職人に声をかける。そうやって、自分の苦手をカバーできる環境を整えることが、結果的に「続けられる独立」につながっていきます。
「仕組み」を持っている人が勝つ時代
かつては“腕一本”で仕事が成り立った職人の世界ですが、これからは**“仕組み”を持つ人が強い時代**です。
それは、効率的に仕事をこなすための仕組みでもあり、安定した受注を得るための仕組みでもあります。どんなに高い技術があっても、知られなければ選ばれない。どんなに真面目に働いても、粗利が出なければ続かない。これは、現場だけでなく経営全体を見なければならないという、独立者ならではの視点です。
そしてこの「仕組み」は、必ずしもすべて自分で作る必要はありません。すでに成功しているモデルに“乗る”という手段もある。フランチャイズという仕組みがその一つですし、まさに独立を後押しする選択肢といえるでしょう。
高齢化社会で伸び続ける「住宅リフォーム」、注目のジャンルは?
職人が独立して成功するためには、「今、何が求められているのか」という社会の動きを見極めることが不可欠です。その中で、近年とくに注目されている分野が「住宅リフォーム」、とりわけ高齢者向けの住宅改修=介護リフォームというジャンルです。
もしかすると、「リフォームなんてどこもやってるし、もう飽和しているんじゃないか?」と感じる方もいるかもしれません。しかし実は、住宅リフォーム市場は今も堅調な成長を続けている数少ない建築関連分野であり、その中でも「介護」という切り口を持つリフォームは、今後ますます伸びていくことが確実視されています。

なぜ今、「介護リフォーム」なのか。そして、それが職人の独立にどう関わるのか。ここではその背景と市場性について、現実的な視点から解説していきます。
リフォーム需要は右肩上がり。新築より安定している理由
まず前提として、日本の住宅市場は「新築からリフォームへ」という大きな流れの中にあります。国土交通省の統計によれば、日本の住宅ストック数はすでに6,000万戸を超えており、そのうち築30年以上の住宅は全体の約4割。つまり、全国のどの地域でも「直したい家」は確実に存在しているのです。
新築市場は少子化の影響もあり、今後は縮小傾向が続くとされています。一方、リフォーム市場は「古い家を今の暮らし方に合わせて整える」という需要に支えられており、高齢化や核家族化など社会的な要因ともリンクして今後も安定的な成長が見込まれています。
特にここ数年は、外装の修繕、断熱性能の向上、水回り設備の交換といった「性能改善型リフォーム」だけでなく、住み手のライフステージに合わせたリフォーム、つまり介護や子育て、在宅勤務など“生活支援型”のリフォームへの関心が高まっています。
このなかで、とりわけ注目されているのが、高齢者の在宅生活を支える「介護リフォーム」です。
「高齢化社会」=巨大な改修ニーズの発生源
ご存知の通り、日本はすでに世界有数の高齢化社会に突入しています。2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者(75歳以上)となり、日本人の5人に1人が75歳以上という時代に入ります。さらに2040年には、65歳以上の高齢者が人口の3人に1人を占めるとされており、この傾向は今後もしばらく続く見込みです。
つまり、高齢者が安全・快適に暮らすための住環境整備は、もはや一部の人だけの話ではありません。社会全体の課題であり、それに応える形でのリフォーム=介護リフォームが、非常に強い追い風を受けているのです。
実際、厚生労働省は「可能な限り、住み慣れた自宅で暮らし続けられる社会」の実現を掲げており、そのための仕組みとして「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。その中核を担っているのが、住宅のバリアフリー化や安全対策といった、いわば建築の力による支援です。
これは、職人の技術がまさに求められている領域です。
「介護リフォーム」は誰のためか? 生活者の声に応える仕事
介護リフォームというと、「介護が必要になってから行うもの」と思われがちですが、実際には予防的な意味合いが非常に強くなっています。
たとえば、「最近、母が玄関の段差につまずくようになった」「父が風呂場の立ち上がりを支える場所がなくて危ない」──こうした“まだ転倒はしていないけれど、そろそろ心配”というタイミングでの依頼が増えてきています。
つまり、介護リフォームとは「医療的ケア」ではなく、「生活の安心をつくる」ためのリフォームです。
手すり1本の設置で、外出できる範囲が広がる。段差をなくすことで、室内の移動がスムーズになる。お風呂の改修で、デイサービスに頼らず自宅での入浴が可能になる。こうした変化は、高齢者本人だけでなく、その家族の安心にも直結します。
その意味で、介護リフォームの現場は、ただ「家を直す」だけではありません。依頼主の暮らしを理解し、現状の困りごとを読み取り、それを職人の技術で解決していくという、人間味あふれる仕事です。
こうした工事に対して、「ありがとう」「助かった」という声を直接もらえることが多いのも、職人にとっては大きなやりがいのひとつとなっています。
国の制度が後押ししてくれる「住宅改修費補助制度」
さらに、介護リフォームが注目される理由の一つに、公的な補助金制度の存在があります。
介護保険制度では、要支援・要介護の認定を受けた高齢者に対し、住宅のバリアフリー改修にかかる費用を最大20万円まで補助(原則9割負担)する仕組みが整っています。
これにより、利用者は実質2万〜6万円程度の自己負担で、手すりの設置や段差の解消、床材の滑り止め対策などの改修を依頼できるようになっており、金銭的なハードルが非常に低いというのが大きな特徴です。
特に「工事費が高そうで踏み切れなかった」という人にとって、この補助制度の存在は非常に心強く、結果として年間数万件単位で介護リフォームの需要が安定して発生しています。
職人の立場から見れば、こうした制度があることで、単価は抑えられていても受注件数は安定しやすく、粗利も確保しやすいというメリットがあるのです。
仕事の取り方も「価格競争」ではない
リフォーム業界において、多くの職人が嫌がるのが「価格競争」ではないでしょうか。ネットで簡単に相見積もりが取れる時代、価格だけで業者を選ぶ人も増えており、「安くしないと取れない」という感覚に疲弊している職人も少なくありません。
ところが、介護リフォームの現場は少し事情が異なります。
実は、こうしたリフォームは、ケアマネジャーや地域包括支援センター、福祉用具貸与事業所を通じた紹介が圧倒的に多いという特徴があります。特に、居宅介護支援事業所のケアマネジャーや地域包括支援センターは、「紹介料を受け取ってはいけない」という介護保険上のルールのもと運営されています。安さよりも「信頼」「対応力」「制度知識のある事業者かどうか」が重視される傾向にあります。
つまり、価格競争ではなく信頼の積み重ねが仕事につながる世界なのです。
そしてこれは、職人にとって非常に健全な仕事環境と言えるでしょう。価格を削られることなく、正当な対価で技術を提供できる。見積もりに根拠があり、補助制度にもとづいて説明できる。こうした安心感は、独立を考える上での大きなプラス材料となります。
このように、住宅リフォームの中でも「介護」という視点での改修は、社会的なニーズ、制度の支援、職人のやりがい、利益性、すべての点でバランスが取れた注目のジャンルです。
次のセクションでは、そんな介護リフォームの世界に、よりスムーズに、そして確実に飛び込む方法──介護リフォーム本舗のフランチャイズという選択肢について掘り下げていきます。
介護リフォーム本舗のフランチャイズという選択肢
ここまで、職人が独立を考える背景や、そこに立ちはだかる5つの壁、そして社会的に伸びている介護リフォーム市場の可能性について見てきました。では、その現実と可能性の間に橋をかけるような“実行しやすい手段”はないのか──そう考えたときに浮かび上がるのが、フランチャイズという選択肢です。
フランチャイズと聞くと、「本部のルールに縛られるのではないか」「自由がなくなるのでは?」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。確かに、全くの“個人事業主”と比べれば一定のルールは存在します。しかし、裏を返せばそれは“支援の仕組み”が用意されているということであり、とくに初めての独立には心強い味方になるのです。
そして、このフランチャイズという手法を、介護リフォームに特化して展開しているのが、介護リフォーム本舗です。
ここでは、なぜ今「介護リフォーム本舗」が独立を目指す職人にとって有力な選択肢となり得るのか、その理由を具体的に掘り下げていきます。
「営業が苦手」な職人でも仕事が取れる仕組み
まず、独立を考える職人が最も不安を感じるポイントとして挙げるのが「営業」や「集客」です。現場の仕事には慣れていても、飛び込み営業やチラシ配布、見込み顧客の獲得といった経験はほとんどない。SNSやWEB広告にも詳しくない──。そんな状態で、どうやって仕事を得るのか。
この“営業の壁”を打ち破るのが、介護リフォーム本舗の仕組みです。
このフランチャイズでは、開業後すぐに案件を取れるよう、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員とつながる仕組みを用意しています。介護業界の構造を熟知している本部が、すでに介護業界内のネットワークを開拓・整備しており、それを活用することで営業未経験者でも安定的に案件を受注することができます。
しかも、前のセクションでも述べたように、介護リフォームの多くは“信頼ベースの紹介”で成り立っているため、いわゆる価格競争に巻き込まれにくい。「安くしないと取れない」というストレスがなく、誠実な対応がそのまま信頼と受注につながるのです。
つまり、「営業トークが苦手」「飛び込みは無理」という職人でも、施工品質や人柄さえ伝われば、仕事が回ってくる仕組みがある──これは、独立を目指す職人にとって非常に大きな安心材料となるはずです。
単価は低めでも、粗利が高く、利益が残りやすい
介護リフォームと聞くと、「手すり1本で数万円の仕事なんて、割に合わないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。確かに、単価としては高額リノベーションのような何十万、何百万という工事と比べれば控えめです。
しかし、見落としてはいけないのは、「利益率の高さ」です。
たとえば、手すり工事の場合、使用する部材は比較的安価で、施工も1〜2時間程度で完了することが多い。必要な道具も特殊なものは少なく、車に積んでおける範囲でほぼ完結します。つまり、かかるコストが非常に低いのです。
加えて、介護保険の補助制度があるため、支払いの仕組みが整っており、工事代金の回収がスムーズで、トラブルも起きにくい。ケアマネジャーや介護事業者とのネットワークがあり、行政の許可によって大繩れる工事でもあることから、「追加工事で揉める」「未払いリスクがある」といった問題も、ほとんどありません。
さらに、本部が提供するタブレット対応の見積支援アプリを使えば、見積り・写真撮影・工事報告までを一括管理でき、事務作業も簡素化。こうした仕組みによって、小さな工事でも利益を確実に積み上げられる構造ができているのです。
小規模案件でも、粗利ベースで見ると十分に生活を支える収入になる。その実績を持つ加盟店が、全国に続々と誕生しているのが、介護リフォーム本舗の現状です。
初期投資も小さく、自動車1台でも始められる
独立を阻む要因の一つに「初期費用の負担」があります。新しい事業を始めるにあたり、事務所の賃貸、工具の新調、車両の手配など、最初から数百万円が必要…という話も少なくありません。
しかし介護リフォームの場合、施工のほとんどが内装や設備の小改修、特に「手すりの設置」「段差の解消」といった作業が中心となるため、それほど大がかりな設備投資は必要ありません。
実際に、軽自動車1台と電動ドライバーがあれば始められるという加盟者もいます。扱う部材も比較的軽く、運搬や在庫の管理もしやすい。また、ほとんどの工事は1日以内に完結するため、資金回収のスピードも早く、在庫リスクも少ない。
加盟にあたっては、本部が営業ツールを準備し、必要な準備については支持があるため、「何をそろえたらいいかわからない」という不安もありません。
つまり、金銭的なハードルが低く、「現場経験はあるけど、資金が心配で踏み出せない」という人にとっても、非常に始めやすい独立スタイルなのです。
事務作業の負担も本部がサポート。現場に集中できる環境
多くの職人が苦手とするのが、事務作業です。見積書や契約書の作成、写真管理、事前申請・工事完了報告、経理作業…。独立すれば、すべてが自分の責任となります。
ところが、介護リフォーム本舗では、そうしたバックオフィス業務をサポートする基幹システムがあります。見積書や事前申請書類の作成もテンプレート化されており、書類に悩む時間を最小限に抑えられます。
また、法改正のたびに変化する介護保険制度の取り扱いについても、最新情報を本部が把握して共有してくれるため、制度に詳しくない職人でも安心して対応可能です。
「現場に集中したい」という職人の本音を尊重した、効率のいいワークスタイルが実現可能になります。
フランチャイズだから「ひとりじゃない」
最後に、精神面での大きな支えとなるのが、「相談できる仲間がいる」ということです。
独立して一番つらいのは、すべてを一人で背負うこと。トラブルが起きても、誰にも相談できない。工事の見積りに自信がなくても、聞く相手がいない──。こうした孤独は、精神的な負担として積もり重なっていきます。
しかし、介護リフォーム本舗のフランチャイズに加盟すれば、本部のスーパーバイザーなどがサポートを行います。成功事例の共有や、勉強会、制度改正時の情報提供など、安心して活動できる環境が整っています。
本部との距離感も近く、相談窓口が明確に用意されているため、「こんなときどうすればいい?」「この制度、うちの自治体ではどうなの?」といった現場の疑問にも、スピーディに対応してもらえる体制が整っています。
これは、完全な個人事業主にはない安心感です。
このように、介護リフォーム本舗のフランチャイズは、職人が独立を目指すときに直面する5つの壁を、すべて具体的な仕組みでカバーしてくれるという点で、非常に現実的で有望な選択肢です。
- 営業が苦手でも案件が紹介される
- 粗利の高い小工事で利益が積み上がる
- 初期投資が少なく始めやすい
- 事務作業の負担が軽く、現場に集中できる
- 一人で悩まず、仲間と成長できる
これらの要素が揃っているからこそ、今、全国でこのモデルに共感し、新たな道を歩み始める職人が増えているのです。
独立に踏み出すべきか悩んでいるあなたに
「このままでいいのか」と感じながら、毎日現場に出ている。
「もっと自分らしく働きたい」と思いながらも、何から始めればいいのかわからない。
──そんなあなたに、この記事は届いているでしょうか。
独立という言葉には、希望と同時に不安がつきまといます。
それは当然です。これまで守られてきた立場から離れ、ひとりで決断し、行動していくというのは、勇気のいることです。
でも、あなたが今感じている「このままじゃいけない」という違和感は、決して間違いではありません。
それは、職人としての技術や経験を積み重ねてきたからこそ見えてきた、次のステージへの入り口なのです。
このまま下請けとして仕事を続けていく道も、もちろん悪い選択ではありません。
けれど、少しでも「変わりたい」「挑戦したい」と思っているなら、その気持ちを無視しないでほしいと思います。
独立には、確かに壁があります。
営業の壁、収入の壁、資金の壁、事務の壁、孤独という壁──。
これまで現場一筋でやってきた人にとっては、未知の領域ばかりかもしれません。
でも、その壁をすでに越えるための道筋が用意されているとしたら、どうでしょうか。
それが、介護リフォームという分野であり、介護リフォーム本舗というフランチャイズという形です。
あなたの持っている「現場の腕」は、すでに立派な武器です。
そして、営業や制度の知識、集客の仕組み、経営のノウハウは、補うことができます。
一人で無理に全部抱える必要はありません。
時代は大きく動いています。
住宅市場は新築からリフォームへ。
社会は高齢化が進み、介護を支える仕事へのニーズは、これから10年、20年先まで続くと見られています。
つまり今は、職人としての経験を活かしながら、次のキャリアを築く“最良のタイミング”なのです。
独立とは、「すべてを自分でやること」ではありません。
自分で選んだ環境で、自分の力を最大限に発揮することです。
もし今、あなたが「独立してみたい。でも不安がある」と感じているなら、それは自然な感情です。
そして、その不安を乗り越えるための“選択肢”を、この記事でお伝えしてきました。
介護リフォーム本舗というフランチャイズの仕組みを使えば、あなたの不安の多くは、最初から想定され、サポートされています。
営業が苦手でも、案件が届きます。
事務が不安でも、アプリが助けてくれます。
分からないことがあれば、聞ける仲間がいます。
あなたが今日まで積み重ねてきた“技術”と“責任感”は、社会にとって、これからますます価値のあるものになっていきます。
それを眠らせておくのは、もったいない。
「いつか」ではなく、「今」動き出してみる。
その一歩が、あなたの人生を大きく変えるきっかけになるかもしれません。
独立は、決して簡単ではありません。
でも、自分の力で未来を切り拓いていくという喜びは、その先に必ず待っています。
次に動くのは、あなたです。
この文章を最後まで読んでくれたその行動力が、もうすでに第一歩です。
